衆議院郵政民営化に関する特別委員会で23日、馬淵澄夫衆院議員に続いて質問に立った辻惠衆院議員は、政府広報の随意契約は、法の趣旨、行政のあり方からして、法案提出の資格に関わる問題だとして、改めて政府委員に誠実な答弁を求めるとともに、スリード社に関わる支出計算書、証拠書類が、会計検査院にまだ送付されていないことを明らかにした。また、スリード社の見積が、その下請けをした凸版印刷の見積より19円高いことも明らかにした。これにより、政府が二転三転四転させたこの契約をめぐる疑問はさらに深まった。
冒頭、辻議員は、本日の委員会で謝罪した細田官房長官に対し、これから先に「虚偽の答弁がでたらどうするのか」を質問。細田官房長官は、「十分監督、注意する」と答えた。その上で辻議員は、「竹中大臣の意向、決裁でことが進んでいる」例証として、12月27日にスリード社の谷部氏から羽村参事官に宛てたメールを取り上げた。そのメールの内容が、竹中大臣の政務秘書官の岸氏と話をしたとの前置きがあり、竹中大臣の意向とされ、1月30日から2月6日までの間に広報を配布することを大臣は了解している、との内容であったかどうかの確認を辻議員は求めた。羽村参事官は事実を認めた。
また、政府広報をめぐる想定問答集についても、1月18日の作成で間違いないことを辻議員は確認した上で、竹中担当大臣にこれを見たことがあるかどうかを尋ねた。竹中担当相は、「1月16日頃に説明したことがあると秘書官が言っている。権限外のもので記憶にない」と明言を避けた。これに対して辻議員は、竹中担当相の秘書官の井上・岸両氏を参考人として招致するよう求めた。この要求は理事会で協議されることになった。
続いて辻議員は、契約そのものについて、12月28日付けの契約書の効力は有効かどうかの質疑に入り、財務省法規課長に書面、署名、捺印がなければ効力は発揮しないことの確認を求めた。法規課長は「その通り」と答えた。更に辻議員が、「2月8日に締結、その日に効力の発効でいいのか」と質問したのに対して課長は、「さかのぼることも必ずしもないとは言えない」としながらも「通常、原則として当然一致」と認めた。
また辻議員は、会計法29条の3の4項で随意契約の要件が定められていることを改めて質問。この要件を満たしているかについて林広報室長に「排他的とは特許権などとコメンタールにある」と詰問。林室長は、「スリード社の内容が斬新ではあるが、特許出願と考えていない」と排他的要件を満たしていないことを認めた。
辻議員は、契約書が2月8日に作成されているのなら、会計法、決算予算及び会計令に規定されている会計検査院への支出計算書、およびその証拠書類として会計検査院に提出されていなければならないことを、森下会計検査院院長に確認した。森下院長は、「まだ、来ていない」と答弁し、また、「一般的には30日以内に提出」することになっていることを明らかにした。このため、今回の場合3月2日支出のため、遅くとも4月末日には提出義務があることを辻議員は示した上、会計法上の処理を求めた。最後に辻議員は今後もこの問題を追及していくとして質問を締めくくった。
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