民主党の枝野幸男・政調筆頭副会長(党薬害エイズ真相究明特別本部長)が6月18日に提出した薬害エイズ問題に関する質問主意書に対して、橋本総理名の答弁書が14日、送付された。
枝野議員は質問主意書で東京・大阪両HIV訴訟原告団と小泉厚相が協議した「薬害根絶誓いの碑」建立について、「1997年10月9日の議事確認書では『薬害根絶誓いの碑』との明確な文言があるのに、厚生官僚が『根絶』の文字を刻まないなどの提案を繰り返していることについて、和解合意に携わった小泉厚相はどう考えるのか」と追及していた。
これに対して答弁書では「議事確認書は有効である」としながら、「医薬品による健康被害は、いかに薬事行政が適正に実施されたとしても、医薬品本来の性質等から不可避的に生じ得るものであり、また、医薬品製造業者や医療機関等の過失等によっても生じ得るものである。したがって、碑に『薬害根絶』の文言を使用することは適当ではない」との詭弁を弄している。
また、6月17日の松村元生物製剤課長の公判で厚生省エイズ研究班の録音テープの存在が明らかになったことについて、検察庁はテープをどこから押収したのか、厚生省はテープの存在を認識していたかなどの点も質問していたが、答弁書では「証拠物の押収の有無などは答弁を差し控えたい」「厚生省内調査ではテープの存在を確認していない」とした。
薬務官僚の製薬業界への天下りについては、枝野議員の質問に答えて平成9年7月に退職した本省課長が平成10年4月に大阪医薬品協会理事長になっている例など12件を挙げ、「国家公務員法、厚生省の自粛措置に反しているとは考えない」と、改善の姿勢を示していない。
枝野議員は14日、「一読したところ、いまだ十分な答弁とはいえず、今後の国会審議や再質問の提出などを通してさらに追及していく」とコメントし、特に公判での「新証拠問題」については郡司元生物製剤課長らの参考人招致なども含め、徹底的に審議したいとしている。
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