第4回目となる社会保障制度改革両院合同会議が「公的年金制度の必要性について」をテーマに30日開かれ、岡田克也代表が民主党を代表して意見を陳述した。
岡田代表は冒頭、これまでの同会議での討議を振り返り、議論があまり進展していない点に懸念を示し、「秋までに年金制度の骨格をつくるとする国民に対する約束を果たすべく、より真摯な努力が求められている」と指摘。過去の経緯にとらわれず、国民の期待に応えるようなお互い実行していこうと与党側に呼びかけた。
「年金制度は究極的には長生きのリスクに備える制度だ」とする考えを示したう上で岡田代表は、自己責任を徹底する立場にたったとしても何歳まで生きるかというはだれにもわからない現状にあって、平均寿命以上を生きた場合のリスクについては個人の責任でカバーするのには無理があると説明。その点をカバーする上で年金制度の意義があるとした。
同時に、自己責任原則に基づいて考えると、老後の生活は自らの資産形成によって賄うことが基本であると考えると前置きしつつも、長期間においては経済的な変動も予測しがたいことであり、それに対する備えとしても年金制度の必要性が浮き彫りになるとした。
そうした点を指摘した上で岡田代表は、若年層の年金制度への不満感に言及。「年金を頼るのではなく自分で備えを行う」方を妥当とする若年層の思いには、世代間の不公平感や政府への不信感の現れによるものではないかと分析した。
さらに公的年金制度が必要とする根拠について岡田代表は、(1)経済変動など、長期間において発生するリスクに民間だけで対応するのには本来的な無理がある(2)民間の年金制度では皆年金という前提がくずれ、高齢者の生活の安定確保という国としての重要な責務を全うできない――の2項目を提示。高齢者の生活の安定を保障することは社会的な安定の基盤でもあると岡田代表は述べ、その意味でも国においてきちんと制度を整える必要性があるとした。
公的年金を考える際の重要なポイントとして岡田代表は(1)皆年金であること(2)公平性の確保――2点を提示した。特に公平性の確保をめぐっては、いくつかの制度に分かれており、それぞれの制度によって受益と負担の関係に違いがある現行制度について「公的年金制度に求められる公平性の確保の観点から問題がある」と述べた。あわせて、負担と給付のギャップが著しい世代間の公平性確保に向けた是正が必要とした。
各党代表の意見陳述後の議論を踏まえ、再度挙手した岡田代表は、「この会議で求められているのは、政治家であるわれわれが問題の本質に切り込んで、それを改革していくことが求められている」と改めて語り、よりよい年金制度をつくるためにはどうしたらいいかという視点で議論を重ねていこうと重ねて呼びかけた。
|