菅直人前代表は19日、東京都の三多摩地域を回り、東京22区の山花郁夫、東京23区の石毛えい子、東京24区の阿久津幸彦各予定候補とともに党の政策を街頭で訴えた。
このうち、正午前から行われた東京22区の山花郁夫予定候補の三鷹駅南口での街頭演説会には、前回選挙での区割り変更まで菅前代表の選挙区だったこともあり、炎天下の中、“菅ファン”など約100人近くが立ち止まり、熱弁に聴き入った。
前日同じ場所で自民党の竹中郵政担当相が演説したこともあり、菅前代表のこの日の話の焦点を「郵政民営化」に絞った。
「皆さんは何でも民営化すればいいと思われるかもしれないが…」と切り出した菅前代表は、まず、この10月から民営化される日本道路公団を引き合いに出し、「民営化が決まっても、官製談合はなくなったのか。70億円の鉄製の橋を100億円で請け負わせ、天下りという形で回収する『後払いわいろ』は全く変わっていなかった」「新しい民営化会社の社長・会長ポスト8つのうち、4つが道路公団の天下り、残りの2つが今回摘発された官製談合の請負業者の経営者である」ことを批判し、「民営化すればすべてがいいというのは大間違い」と断じ、民主党の高速道路無料化政策を説明しながら、「廃止すべきものは廃止すればもっとよい」と強調した。
その上で、郵政民営化に話を戻し、「小泉首相は『官から民』と言うが、実際には民営化されても、財務省が発行する財投債を購入し、その資金が特殊法人に流れる図式は全く変わらない。お金の流れは『官から官』のままだ」と断じ、テレビ番組で対決した竹中担当相にこの矛盾を突きつけても反論がなかったことを紹介した。
さらに菅前代表は、「将来は1割の35兆円を民間に貸し出す」とする政府の見通しについても、「郵便銀行に貸し出し能力はあるのか。融資業務はお金を集めること以上に難しい。35兆円を貸して収益を上げるには、数千名の専門家がいなければとてもできない」と、その非現実性を指摘した。
そして、本当に「官から民へ」資金の流れを変えるには、「民主党が2年前の衆院選のマニフェストに盛り込んだ郵便貯金の預け入れ限度額の引き下げが有効である」と、語気を強めた。
また菅前代表は、小泉郵政民営化による郵政会社は100%政府出資の株式会社であって、将来株式を放出しても、他の政府が全額出資する会社によって買い戻すことができる点を突き、「形式は民営化だが、結局は政府の孫会社にするというやり方」だとして、「小泉郵政民営化は、あのインチキな道路公団民営化と同じ。だから私たちは反対した」と訴えた。
その上で、「今の政府や特殊法人が買い物をする公共調達は年間約40兆円。これを30兆円に引き下げて10兆円の歳出削減を実行するのが民主党の財政改革の第一歩」として、サラリーマン増税による10兆円の増収を企てた政府税調の答申を否定しようとしない小泉首相との違いを際だたせた。
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