参議院予算委員会で2日午後、平成17年度補正予算に関する締めくくり質疑が行われ、民主党・新緑風会からは小林正夫議員が質問に立ち、所得格差、雇用問題、少子化対策等について、小泉首相はじめ関係大臣に質した。
小林議員は冒頭、「日本の国力は何によって生み出されると考えるか」として、首相に見解を示すよう求め、「さまざまな尺度がある」との答弁を受けて小林議員は「日本の国力のもとは額に汗して働くことにある」との自らの考えを表明。小泉改革が進むなか、非正規雇用者が増加している実態を指摘。その対策に関し川崎厚労相、二階経産相に質した。
川崎厚労相は「正規社員への(企業側からの)要求は弱い。ハローワークを(通じて)企業にお願いしながら進めている」と答弁。二階経産相も「非正規雇用者の増加が観られるのが特徴。改めて企業の継続的な発展のもとには長期的視野に立った戦略的な人材育成をバックアップしていく」とするだけで、実態改善につながる具体策は示されなかった。
続いて、所得格差の問題について「格差は見られない」との主張を重ねる首相の認識の誤りを指摘したうえで小林議員は、「小泉改革によって雇用に不安が生じているし、日本の国力において非常に心配」との見方を示し、安定雇用に向けた政府の積極的な取り組みの必要性を重ねて強調した。
また、安定雇用と同時に職場の安全確保の重要性も指摘し、労働災害防止にむけ、政府としても全力で取り組むよう、川崎厚労相、二階経産省に注文をつけた。
少子化対策・子育て支援の問題をめぐっては、小林議員は日本の国力を考えたとき、人口減少傾向に入った現状は「問題だ」とする認識を示し、将来の人口はどの程度を適切かを首相に質した。小泉首相は「何人なら適切かは私の乏しい才能ではわからない」などと答弁。専門家の意見を参考に判断したいとした。
小泉政権の少子化対策の実効性を探るべく小林議員は、猪口少子化対策・男女共同参画担当相に過去10年の財政支出とその成果を質問。猪口担当相からは2兆8000億円が投入されたことを明らかにしたうえで、「少子化の流れは変えることができなかったが」との認識を示しながら、待機児童ゼロ作戦など、保育関係事業中心に予算が使われてきたとの説明があった。こうした答弁を受けて小林議員は結果として少子化が進行し続けている現状を十分認識し、その認識に基づいた施策の再考の必要性を指摘。支援対象は従来通りの家族単位でいいのか、共働き家庭はもとより専業主婦への子育て支援のあり方はどうあるべきか等も含め、実態に即した支援のあり方を再検討すべきと問題提起した。猪口担当相もそうした視点に賛同し、その方向を考慮して対策を進めるとの前向きの姿勢を示した。
小林議員はまた安全対策の観点で、明確な規準が示されずにあいまいなまま放置され、犯罪の温床となっている銀行のATM設置基準を問題視し、金融庁・警察庁が一体となって国として規制する法律を整えるよう、与謝野金融担当相と沓掛国家公安委員長・防災担当相に強く求めた。
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