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2006/02/07
【衆院予算委】山岡議員、米国産牛肉輸入再開問題で政府責任追及
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 衆議院予算委員会は7日午前、2006年度予算案に関する2日目の基本的質疑を行い、民主党・無所属クラブの山岡賢治議員が質問に立ち、輸入再開後の米国産牛肉に特定危険部位(SRM)混入を受けて行った成田検疫所や米国内の現地調査データ等を踏まえ、輸入再開決定の経緯など政府の不手際に関して、小泉首相はじめ関係大臣の姿勢を追及した。
 
 山岡議員は成田の検疫体制のあり方について小泉首相の認識を質した。首相は「(検疫体制が)しっかりしているから(水際で)止められた」などと認識の甘さを露呈するような答弁。中川農水相や川崎厚労相に至っては、SRM発見という深刻な事態を受けても検疫所の視察さえ行っていないことが質問を通じて明らかになり、山岡議員はこの問題は机上の空論で成り立っていることに問題の根源があると指摘。机上の空論だけで安全確保は万全とする政府の判断そのものが問題であり、成田や米国での現地視察で目にした実態から考えると、安全確保は甚だ疑問だと改めて問題提起した。
 
 そうした認識に立って山岡議員は、食品安全委員会が答申に定めた日本向け輸出プログラムにある二つの基準「SRMの除去」と「20カ月齢以下の牛に限定」に改めて言及。20カ月齢以下の牛の判別が成田の検疫所で可能かを中川農水相に質した。農水相は「たぶんできない」と答弁。「ただ、輸入証明書で判断すれば見分けることはできる」とも語った。小泉首相は「できる人もいる、できない人もいる。それもわからない」などと述べた。山岡議員は、「結論から言って判断できる人はいない」とし、米国内はもとより成田の検疫所では判別は不可能であり、そういう現状を踏まえずに「ちゃんとやっているから大丈夫」とする中川農水相らの発言は何ら根拠がないことに改めて言及した。
 
 山岡議員は成田検疫所での第一発見者が「子どもでもわかる」と証言したように、今回の件はたまたま骨付きの肉であったために発見できたとして、「そうでない肉は証明書さえあればフリーパスだ」として、チェック体制の不備を改めて明らかにした。その不備を証言するかのように、食品安全委員会の寺田委員長も「成田ではチェックできない」と明確に答弁した。

 続いて山岡議員は、日米の検査体制の比較を示し、米国内では全頭数の約10%程度しか生産月日を把握しておらない上、肉質による確実な識別ができない以上、「20カ月以下の牛に限定」することは不可能であるとの認識を示した。

 また、加工段階でSRMが飛び散っている現状を目の当たりにした米国内の食肉加工業者での視察での印象をもとに、「SRMの除去は結論的にはアメリカは不完全。証明書がついてきても不完全だ」とも述べた。

 山岡議員はさらに、米国内における交差汚染対策の不備についても取り上げた。日本国内ではBSEの感染源となる恐れがある牛の肉骨粉は牛はもちろん鶏や豚の餌にはできないという規制があるのに対し、米国内では鶏や豚への供与は許可されており、さらに鶏や豚の肉骨粉は牛に与えることは認められている点を指摘。病原体の異常プリオン(タンパク質)が入った肉骨粉を介在にした「交差汚染」発生の可能性があることを明らかにした。

 米国内の食肉加工業者の多くが、「採算に合わないものはやらない」との姿勢が強く、日本向けの輸出プログラムの遵守など、ほとんどが望めない状況にあることも山岡議員は指摘。米国農務省の監査報告でも「手順が遵守されていることが確認されなかった」との認識が示されたことも山岡議員は深刻に受け止め、米国内の検査体制の不備を日本政府がしっかり正すのが前提との考えを強調した。

 同時に、安全委員会の答申で「安全担保の実効性に疑問が残る。脊髄除去の監視の強化をはかる必要がある」との指摘があったにも関わらず、リスク軽減措置が確実に実施されているかどうかの保証もないままに輸入再開に踏み切った政府の責任の重さを山岡議員は追及。輸入プログラムにある付帯事項を遵守しなかった中川農水相を「遵守しなかったのは義務違反だ」とも指摘。「責任をとって辞めてほしい」と厳しい口調で批判し、国民の食の安全確保を放棄した姿勢は辞任に値するとの認識を示した。

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