8日午後の衆議院予算委員会で、古川元久議員は、医療制度改革や議員年金廃止法案について質問を行った。
古川議員は冒頭、政府の医療費抑制に対する基本的な考え方を質した上で、国民が求める医療」という視点を大前提にするように要求。民主党が「安心と納得と安全の医療制度」に向けて、考え方をまとめていることを紹介した。
続いて古川議員は、早期発見・早期治療の重要性に関して、国民の間で関心が高いがん予防対策に言及。第3次対がん10か年総合戦略の中に述べられた「がん罹患率と死亡率の激減を目指す」という文言について、小泉首相に政府の意気込みは本当かと質し、垣添国立がんセンター総長には、研究事業の結果を情報提供する取り組みについて質問。「政府・行政から一般の人に、生活習慣を変えるように働きかける必要がある」として、研究結果を具体的に活かす施策を実施するよう川崎厚生労働大臣に求めた。
古川議員は、国民皆健診を実現し、生活習慣も含めた助言が受けられる体制を作るという民主党の考え方も明らかにした上で、がん検診の制度を見直し、数値目標を定めて受診率を上げるように務めるべきではないかと質した。あわせて、対策を作って効果をはかるため、また医療制度改革を議論するためにも、必要なデータをきちんと用意するようにと求めた。
さらに古川議員は、受診率を上げるつもりならば、地方の厳しい財政状況も踏まえた予算措置が必要でないかと指摘したが、竹中総務大臣は、平成10年度にがん検診の国庫補助負担金を一般財源化して、地方交付税交付金に切り替えた前後で、受診率が変化したことはなかったとの認識を示した。川崎大臣は、都道府県単位ごとの受診率の公表など、数字を出す考えを示した。
古川議員は、平成18年度予算の目玉事業である、がん情報ネットワークについても質問で取り上げ、安心できる情報を求める患者の期待に応えられる体制作りが、今回の予算で可能であるかを質問。垣添国立がんセンター総長は「病院間・地域間格差を埋めるための大事な施策。極めて重要な第一歩」だと考えを述べた。古川議員は、国家戦略である対がん戦略について、国が先頭に立って、国家をあげてがん対策に取り組む様子が見られないと指摘し、がん医療に関わる人材の育成についても、数値目標を設けるなど、政府が力を入れるように要請した。
古川議員はまた、議員年金廃止法に言及。3日の参院本会議で、本当に廃止するとした民主党案が否決され、与党案が成立したことについて、「『偽装の廃止』といわれても仕方がない」と厳しく指摘し、年金受給が選択できる与党案は、いったん再考を求めた首相の意向に沿っているのか質した。小泉首相は「選択できるから良い」と答弁し、廃止が実現できたので、国民の理解は得られるとの考えを示した。古川議員は「小泉改革が、看板だけで中身がない象徴だ」と批判したが、小泉首相は、見直しについても、そのときの議員が考えるべき問題だと取り合わなかった。
|