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2006/02/08
連合より、公共サービス研究会の「中間報告」をヒアリング
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8日午前、国会内において『次の内閣』総務部門・公務員制度改革等調査会合同会議が開かれ、連合の「良い社会をつくる公共サービスを考える研究会『中間報告』」について、同研究会の主査を務めた神野直彦東大教授からのヒアリングを行い、連合の公共サービスに関する基本的な考え方を聞いた。

 会議は内藤正光『次の内閣』ネクスト内閣総務副大臣の司会の下にすすめられ、冒頭に渡辺周ネクスト総務大臣が挨拶を行った後、直ちに神野教授から「中間報告」についての説明を聴取した。

 神野教授はまず、現在日本は格差社会・不安社会となりつつあるとし、その原因は政府の時期はずれの新自由主義的経済政策にあるとした。その手本とされている80年代のサッチャー・レーガン流の新自由主義的経済政策はスタグフレーションに対応するためのものであり、インフレの収束には成功したが、デフレを激化させたと指摘し、それをデフレが進む中で行おうとしているのが日本の新自由主義政策であると指摘した。そしてその結果、経済不安が社会不安に広がり始めており、子供たちに問題が起こり、犯罪が増えているとした。神野教授はこの状況を、政府がその役割である統治に失敗していると批判した。教授はさらに、これは人間が成り立っていくための容器と言える公共サービスの責任を政府が放棄している状態であるとした。

 神野教授は、日本では市場による所得分配機能は弱く、政府の介入による所得配分は中位であるとし、日本が社会主義的な経済であるという考え方を退けた。そして、政府が提供する良い社会があってはじめて民間がチャレンジできるとし、また政府が大きいか小さいかは税負担ではなく政府のサービスの大小から判断するとしつつ、小さな政府が大きな税負担を求めることなく機能する条件は、共同体が機能していて市場が小さいときであると指摘した。さらに日本社会では企業が擬似共同体として働いていたとし、それが崩壊し始めたときに、家庭労働の社会化が必要であるにもかかわらず、日本型福祉社会の名の下に女性に家庭労働を強いる政策が導入されたと批判した。教授は、共同体が小さくなっているときには何らかの意味で公共サービスが必要となるとした。

 ここで教授は、中間報告で提言されている4つのビジョンを説明した。第1は、「自立支援型のサービス」であり、ここで教授はサービスは無償で提供するが、サービスの生産については競争があっても良いという踏み込んだ考え方を示した。第2は、「ニーズ志向のサービス」であり、教授はここでニーズ(必要)には限界があるがウォンツ(欲望)には際限がないことを指摘した。第3は、より身近なところで問題を解決するという「開かれた補完性原理」であり、第4はサービス提供主体の最良の組み合わせをめざす「ベストミックス」である。

 神野教授は最後に緊急提言に触れ、公正な租税負担構造を作っておくことが格差是正にも財政再建にも役立つことを強調した。

 連合の古賀連合事務局長が、この中間報告は官民合わせての討議の中で作られた敬意を説明し、小泉改革に対抗すべきことを訴えて、中間報告のヒアリングは終了した。

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