政治改革の推進を目指す学者や経済界、労働界などで構成する「新しい日本をつくる国民会議」(21世紀臨調)は26日、衆院選に向けた各政党のマニフェストを検証する緊急大会を都内で開催。民主党からは岡田克也代表、仙谷由人政調会長が出席した。参加団体は経済同友会のほか、全国知事会、構想日本、連合、日本青年会議所、言論NPO、日本総合研究所、PHP総合研究所。
「新政権公約の検証と総選挙の争点」をテーマに話し合われた第二部で、岡田代表はまず、今回の衆院選の意義について「政党が政策を示し、国民の前でしっかりと議論し、政権を選んでもらう政権選択選挙だ」と指摘。郵政民営化法案の是非を問う選挙と位置づける自民党の考え方を否定した上で、前回の衆院選、先の参院選を経て、今回で3回目となるマニフェスト選挙をより意義のあるものにしていきたいとする考えを表明した。
同時に岡田代表は、「政府をしばるという意味もマニフェストにはある。だからこそ具体的数値化が必要」との認識を示し、具体的数値目標を掲げることで、政府に政策実現を促していくことの重要性を指摘した。
その上で岡田代表は、民主党マニフェストで重点項目として訴える(1)歳出削減(2)年金改革(3)教育改革・少子化対策(4)補助金の地方財源への切り替え(5)イラクからの自衛隊撤退(6)農業の育成(7)道路公団廃止と高速道路無料化(8)郵政改革の8項目からなる「日本刷新 8つの約束」に言及。「何のために政治があるかといえば、一人ひとりのしあわせを実現するため」と語り、「職業によって制度が変わるのは好ましくない」として、年金制度一元化の早期実現の重要性を指摘。年金目的消費税の導入により、月額7万円の最低保障年金を実現していくとした。
岡田代表はまた、「年金とあわせて子育て支援も今回の選挙の最大テーマ」だとして、月額1万6000円の子ども手当の支給、学校運営に関する権限を基礎自治体や学校現場に移譲して学校長の公募制導入などを可能にする公立学校改革などを、マニフェストに盛り込んだことを明らかにした。
続いてマニフェストに明示した「分権改革」の重要性にも言及。現在の約20兆円の補助金のうち、生活保護などを除く18兆円を廃止し、税源移譲と一括交付金に切り替えていくと表明し、「これによって地方行政は生き返る。活性化に繋がる」と語った。
「戦後60年。後継者不足に陥っている自民党農政の過ちと言える補助金のばら撒き、農業土木に集中していたものを大転換していく」とも岡田代表は語り、民主党マニフェストで「みどり」と「食」と「農業」の育成と銘打った、補助金付け農政から直接支払い制度への転換による10年後に自給率50%実現を目指す農政改革、アジア重視の外交への転換、イラク自衛隊の12月撤退、預入限度額の段階的な引下げによる郵貯・簡保の適正規模への縮小による郵政改革などについて説明した。
各政党の説明後に行われた質疑と意見交換では、参加団体から意見が寄せられた。
経済同友会の北城代表幹事は「数字のばらまき、幻想は示さない」などとして、政権政党として具体的数値目標はあえて示さなかったなどと説明した自民党の態度を「おかしい」と指摘。民主党マニフェストに対しては「よく書かれている」との評価を示し、具体的目標もはっきり明記している点についても、「高く評価できる」と語った。民主党の郵政改革については、郵貯の規模縮小伴う人員削減による失業者に対する雇用対策を明示すべきと注文をつけた。
また全国知事会の麻生会長は、分権改革を明示した民主党マニフェストに対し、「立派である」として、高い評価を示した。一方、12.5兆円の一括交付金については「財源と配分権限が国に残り、分権の趣旨から疑問」とする考えも示した。
|