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2006/03/08
【参院予算委】山根議員、皇室典範改正、拉致問題の政府対応質す
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 参議院予算委員会で8日、一般質疑が行われ、民主党・新緑風会の山根隆治議員が午前・午後にわたって質問に立ち、皇室典範改正問題、北朝鮮の日本人妻帰国問題および拉致問題、税務署改革のあり方等を取り上げ、安倍官房長官、麻生外務大臣、谷垣財務大臣、額賀防衛庁長官らの見解を質した。

 皇室典範改正問題に関してはまず、有識者会議の答申に基づく一連の動きが改正論議に一定の方向性を示すことになったことに着目した山根議員は、有識者メンバーの人選に関して安倍長官に質問。「幅広い観点から大所高所の議論をしてもらうため、高い見識のある人材を選んだ」とする安倍長官に対して山根議員は、「メンバーの経歴を見ると、学者が多い」と指摘。幅広い観点からの議論を求めるのであれば、今回のような一種の偏った人選ではなく、労働界、宗教界、スポーツ界、芸能界なども含め、幅広い分野から高い学識をもった人材を選ぶのが妥当であったはずとの認識を示した。
 
 また、今回出された有識者会議答申について「非常にまとまっていて、学識豊かな方々のご議論だが、中盤以降は結論を急ぐかのような書きぶり。拙速感を否めない」との見方を山根議員は示し、さらに議論を深めるのが必要との観点で改めて審議会を設置すべきと問題提起したが、安倍長官は「専門家の方々からヒアリングを行い、結論を得たと思っている。国民的な深い議論は必要とは思っているが、有識者会議や諮問委員会の新たな設置は考えていない」と答弁。こうした安倍長官の見解に対し、山根議員は今回の答申をもって結論とすることなく、十分なヒアリングやさらなる議論を行うよう重ねて指摘した。
 
 続いて山根議員は北朝鮮の日本人妻帰国問題を取り上げ、北朝鮮に渡った日本人妻の総数と帰還者数を質した。答弁から北朝鮮に渡った日本人妻は1831名で帰国者数は43名であることを確認したうえで、物故者数・死因等の提示を求めたが北朝鮮からは満足いく回答がなされていないことが答弁から明らかになった。
 
 脱北者からもたらされた情報をもとに、日本人妻は長い間、人種差別を受け、飢餓で苦しみ、多くの方がすでに亡くなっているとの指摘があることに言及した山根議員は、拉致問題と並行して、政府としてこの問題の解決を北朝鮮側に強く求めるよう要請。麻生外相から「2月の日朝包括協議でも提起している。重要な人道案件と思っているので、引き続き努力する。本人の希望があればぜひ帰国を」との答弁を引き出した。
 
 山根議員はまた、拉致問題を国家的犯罪と認識するかどうかを質したのに対しては、安倍長官からは2002年9月の日朝平壌宣言の合意時に北朝鮮の金正日総書記が国家としての関与を認め、謝罪した事実が述べられ、「国家が係ったのは間違いない」と表明。「この解決なくして国交正常化なし。その考えのもとに交渉を続けていく」と語った。

 政府のこうした姿勢を確認したうえで山根議員は、政府認定拉致被害者16人以外の「特定失踪者」のうち、民間団体の特定失踪者問題調査会が「北朝鮮が拉致した疑いが濃厚」とした特定失踪者が34人に上ることに言及。事実解明に向けた政府対応を質した。

 麻生外相からは昨年11月の北京における日朝政府間協議で、リストを渡して情報提供を求めたことが明らかにされ、さらにリストだけでは不十分とする北朝鮮側から関連情報の提供を求められ、ご家族の了解も得て、どの程度までの情報提供が妥当かを十分検討したうえで対応すべく準備を進めているとの答弁がなされた。

 山根議員は「誠意ある回答がなければ次のステップに踏み切らざるを得ない」と述べ、改正外為法による送金停止や、特定船舶入港禁止法などによる北朝鮮籍の船舶の入港禁止などの経済制裁も視野に入れた、政府としての厳しい対応の必要性も指摘した。
 
 最後に税務署改革問題を取り上げた山根議員は、税務署員が懲戒処分等を受ける問題が年間40〜50件も発生していることに言及し、こうした実態改善に向け、税務署改革の必要性を強調。同時に税務署による徴収実績が米国等と比べて低く、効率がいいとは言い難い実態を指摘し、税務関連業務で民間委託が可能な分野に関しては効率向上と経費抑制の観点から官から民への業務移行も検討すべきとの問題提起を行った。

 こうした指摘を受けて安倍長官は「効率的で簡素な政府を目指すうえで、民営化にふさわしいもの、アウトソーシングにふさわしいものはする」と答弁。谷垣財務相も「外務委託ができる部分はしていく」とした。

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