●不良債権の実態を知らせない大蔵省
衆議院予算委員会の総括質疑で1日、上田清司議員は、昨年12月に破たんした日本債券信用銀行に、昨年3月時点で公的資金注入が決められるまでの経緯を取り上げた。
上田議員の質問に対する日野金融監督庁長官や速水日銀総裁の答弁によると、大蔵省は日債銀に対して97年9月11日時点で、第3分類債権(回収懸念債権)が1兆1212億円あるとの検査結果を伝えた。ところが、8日後の同月19日に東郷重興・日債銀頭取(当時)は日銀に「第3分類債権は7000億円」と、中間報告の数字を報告しただけだった。上田議員は「これは東郷氏にだまされたということではないか」と指摘、真相を明らかにするため東郷元頭取の証人喚問を求めた。
宮沢蔵相は、大蔵省は検査の結果は「第三者に言うことではない。日銀にも言っていない」と述べ、不良債権額の実態をつかんでいながら、日銀や公的資金注入を決めた金融危機管理審査委員会=佐々波(さざなみ)委員会などに伝えていなかったことを答弁で認めた。上田議員は、同委員会の5人の委員の証人喚問もあわせて求めた。
また上田議員は、中村法務大臣が今年1月4日に法務省の新年会で行った発言について、「自衛権がないとか、改正できないとか、憲法についての基本的知識がない。大臣として適格性に欠けている。法の番人たる法務省の官僚の前でこのような発言をして、撤回ですむ話ではない」として、中村法相の辞任あるいは罷免を強い口調で求めた。
しかし中村法相は「撤回、お詫びしたのでご理解を」、首相も「自ら撤回したので了とした」と繰り返すだけで、辞任・罷免は否定した。
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