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1999/02/04
税負担バランスを歪める最高税率だけの引き下げ中・低所得層の税負担軽減を/衆院本会議で代表質問  
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所得税・住民税の最高税率引き下げなどを内容とする減税関連法案など3法案の趣旨説明が4日の衆議院本会議で行われ、民主党の末松義規、中川正春両議員が代表質問に立った

●NPOへの寄付金 蔵相「税制で優遇」

 所得税減税問題を中心に質問した末松義規議員は、まず小渕首相が施政方針演説で「あるべき日本の姿」として主張している「富国有徳」が、どのように今回の税制に反映されているのかをただした。首相は「経済の繁栄だけでは心の充実はできない。高い志をもった国家にしたい」と述べたものの、あとは「21世紀をみすえて」と連発するだけで具体的な言及はなかった。

 また、末松議員は「税制も、国会第一主義一点張りではなく、人々の自己創造を助けるような仕組みにすべき」として、NPO等への寄付金控除システムの必要性を訴えた。これに対して、宮沢蔵相は「資格を取得するNPO法人の活動の実態を見極めて、寄付の公益性が担保される仕組みを考えて、減税措置をしていきたい」と述べ、NPO法人への寄付金に税制優遇措置を講じる方針を初めて表明した。

 所得税減税では、「最高税率だけの引き下げは税負担のバランスをゆがめる。中・低所得層の税負担軽減を図るべきだ」と主張。宮沢蔵相は「本来所得税は累進課税によって公平性が保障される。非常に急ぐときには定額減税の方が簡単だが、累進制を生かす定率制のほうが本来の姿だ」として、末松議員の主張を認めた。

 また最高税率引き下げについて蔵相は「65%は先進国として高すぎる。ベンチャービジネス育成、外国との格差を埋めるために踏み切った」と述べ、理解を求めた。

 また、末松議員は税制の構造改革のひとつとして、納税者番号制度の検討を求めたが、首相は「理論面、実態面から十分検討を進めていく必要がある」と述べるにとどまった。


●11年度予算案は「やぶれかぶれ予算」

 中川正春議員は、「平成11年度における公債発行特例法案」への質問を行った。中川議員はまず「日本の国債残高は99年度末には327兆円に達する。将来世代への大きな負担を強いる以上に、日本の貨幣『円』に対する信頼と国家の権威までにひびが入る」と述べ、構造改革の視点に欠け、相変わらずバラマキ型の今年の予算案を「やぶれかぶれ予算」「世紀末予算」と批判した。しかし小渕首相は「11年度予算は当面の景気回復のため編成した」と繰り返すだけだった。

 また中川議員は、金融再生のための60兆円の公的枠組みに関連し、金融機関から預金保険料率の引き下げ要請や、2001年3月からのペイオフの期間延長の声があることを「できるだけ公的資金につけをまわそうという業界に都合のいい力学がはたらいている」と強く非難。

 中川議員は、国債の大量増発によって長期金利が急騰し、その結果企業の資金調達コストの上昇、収益率の圧迫、債権価額の下落などに連動していく危険性や、さらに国債の格下げの懸念を示し、「国債発行は限界に来ているのでは」として堺屋経企庁長官の見解を求めた。堺屋長官は「数字で示すことは難しい。公債依存度は37.9%と高いが、まず景気回復に全力を挙げ、経済の回復軌道にのれば多くの選択肢で財政再建が可能になる」と直接の答弁は避けた。

 最後に中川議員は、「構造改革を起こそうという首相の政治指導者としての意思が伝わってこない。国民の不安を唯一克服できるのは政治がリーダーシップを取り戻すとき」と述べ、質問を締めくくった。

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