参院予算委員会で13日、民主党・新緑風会の小川敏夫議員が質問に立ち、耐震強度偽装問題に絡んで国土交通省に働きかけを行ったとの指摘があるヒューザーの小嶋社長と安倍官房長官との関係、ミサワホームグループの産業再生機構支援決定、米国公文書により明らかになった日米密約の問題等を取り上げ、関係大臣に質問した。
冒頭、小川議員は耐震強度偽装問題に絡んで安倍長官の秘書が国土交通省側に働き掛けを行ったとの指摘がある小嶋社長との関係について取り上げ、事実関係を質すと安倍長官は「電話も含めて働きかけをしていない。提案もしていない」として、働きかけについて全面否定。北側国交相も「(省内で)電話は受けていないと聞いている」とした。
続いて、ミサワホームグループの産業再生機構支援決定に関して質問。平成16年12月28日、その日のうちに支援決定がなされたことについて、即日の支援決定では十分な支援審査が行われたとは判断しかねるとの視点で事実経過を質したが、住宅局長は「産業再生機構は厳格な資産査定などに通じて案件の検討作業を行った」などとして支援決定の妥当性を主張。しかし支援要請が持ち込まれた時期については「12月になってから」「12月1日以降12月27日まで」と述べるに留まり、あくまでも明確な答弁を回避した。
また、そもそも支援の必要があったかどうかにも疑義があるとの見方を示した小川議員は、11月19日に100億円の利益があると公表した直後の12月7日に5億5000万円と修正された点について、支援内定が11月16日であったことに基づき、産業再生機構による支援決定に関与する修正ではなかったかを質した。
中馬行革担当相は「産業再生機構が独自で調べたり、各省庁に相談したりしている」として、最終決定を行う産業再生委員会による手続きに間違いはなかったと思うとの認識を示した。これに対して小川議員は「思っているだけとの答えだけで、私の質問には答えていない」と厳しく指摘。産業再生機構は支援決定理由について「本件事業の実施により、計上収入は計上支出を上回るものと思われる」と書いているが、支援要請を持ち込んだ段階ですでに、11月19日に100億円の利益があると公表しており、12月7日の修正段階でも5億5000万円の利益があったとしている点からも明らかなように、すでに計上収入は計上支出を上回っているものに対して、産業再生支援事業を実施したらそうなると説明する産業再生機構は支援決定理由の不合理性を小川議員は改めて浮き彫りにした。その上で「そもそも支援する必要があったのか疑問」と重ねて訴えた。
また、産業再生支援を受けながら、不適切な不動産売買が行われた実態があることも小川議員は指摘し、ミサワホーム創業者の三沢千代治氏の証人喚問を求め、理事会で協議されることとなった。
続いて、小川議員は与謝野金融担当相に対する村上世彰氏からの寄付に関して質問。「村上ファンドから40万円の寄付があったが事実かを質したのに対し、与謝野金融担当相は個人献金として40万円を政治資金規正法に乗っ取って処理したことを明らかにした。
最後に小川議員は、沖縄返還(72年5月)にあたり当時対米交渉にあたった吉野文六・元アメリカ局長が「返還時に米国に支払った総額3億2000万ドルの中に原状回復費用400万ドルが含まれていた」と述べ、日本側が肩代わりした密約の存在を事実上、肯定した問題を取り上げた。その事実を質したのに対して麻生外務相は「米国の文書なので知る立場にない」などとして、密約の存在を重ねて否定。そうした答弁を踏まえて小川議員は、事実解明に向け、吉野元アメリカ局長の参考人招致を要請し、質問を締めくくった。
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