前原誠司代表は14日午後、党本部で定例の記者会見を行い、米軍基地再編をめぐる岩国市での住民投票への評価、香港で脊柱混入が発見された米国産牛肉の安全性の問題、ライブドアと政治との関わりの問題などについてコメントし、代表就任から約半年となるにあたっての所感も語った。
前原代表はまず、岩国市での住民投票に関して、50%以上の投票率の中で「多くの方々が反対の意思表明をされた」こと、反対の票数が有権者総数の51%強にものぼることを指摘。岩国に限らず、沖縄や神奈川の各地域なども含め、「日米合意ありきで、地元への丁寧な説明なしに進めてきたツケが、このような住民投票に追い込んだ」との見方を示し、安全保障を司る政府の大きな責任を指摘した。そして、政府のこうした対応が「きわめて大きな問題を引き起こし、ひいてはそれが日米同盟関係の亀裂につながりはしないか」と強い懸念を示し、政府の稚拙な手法を厳しく批判。説明責任を果たし、地元への説得を行うことに関し、政府として責任を果たしてもらいたいと厳しく注文をつけた。
香港で、脊柱が混入した米国産輸入牛肉が見つかった件についても前原代表は触れ、そのこと自体も大きな問題だが、更に大きな問題は、当該会社が米国が対日輸出プログラムで認めていた会社であり、日本政府も査察をして安全であるというお墨付きを与えていた会社だということだ、と指摘。「日本政府の調査団はいったいどんな査察をしていたのか、きわめて怪訝に思うと同時に、査察内容の精度について大きな疑義を持たざるを得ない」と厳しい口調で語った。
同時に前原代表は、山岡賢次副代表を本部長とするBSE問題対策本部で、米国の食品会社に対してアンケートを行う予定であることを明らかにし、安全な牛肉についての輸入再開を歓迎するとしつつ、その前提をどのように考えているかのアンケートだとして、「回答結果をきわめて注目している」と述べた。そして、「米国も、日本の基準にあった安全な牛肉を輸出するための手続きを、しっかり末端まで徹底をさせてもらいたい」とし、「そのことについての説明責任を日米両国政府が果たしてもらいたい」などとも指摘して、国会でもしっかり追及を行っていくとの意向を示した。
前原代表は更に、証券等取引委員会がライブドアを告発し、東京証券取引所が来月14日のライブドアの上場廃止を決めたことについてもコメント。「証券業界の大混乱と不信を生み出したライブドアには、厳しい処分が下されるべきで、上場廃止と告発は当然のことである」との見解を語った。そして、ライブドアに関するメール問題について改めて陳謝した上で、「ライブドアと政治に関わる問題はきわめて大きな問題だ」とし、昨年の衆院選で公認候補並みに堀江氏を応援し、武部幹事長や竹中総務相も応援に駆けつけて堀江氏を持ち上げた事実を前原代表は指摘。堀江氏も自民党を利用したが、ライブドアにお墨付きを与え、選挙に利用した自民党の責任はきわめて大きいとし、今後も厳しく対処し、徹底追及していく考えを明らかにした。
記者団から、代表に就任してほぼ半年となるにあたっての所感を問われた前原代表は、「任期を一生懸命に全うする」との決意を改めて語りつつ、「主要な政策テーマについては対案路線をしっかりとっていく」との方向性は貫かれていると指摘。内政や外交・安全保障に関する考え方についても、ビジョンを然るべき時期に示し、しっかり議論していく意向を示し、次期衆院選の候補者擁立についても触れて、来年の統一地方選、参院選の候補者擁立も含めて、しっかりと取り組み、役割を果たすと語った。
また、今後の反転攻勢に向けた国会運営についても前原代表は質問に答え、これまで安全国会と銘打ち、論戦を展開してきたが、様々な問題に関する安全性の確保については、未だに政府から明確な答えが示されていないと指摘。しっかり追及をしながら、「どう安全策を出していくのかは、与野党を通じての政治の責務だ」とした。そして、小泉政権5年間で、官のムダづかい、天下り、官製談合などに、全くと言っていいほど手がつけられていない現状を厳しく指摘し、これを止められるのは民主党だけだとして、教育や社会保障問題への取り組みも含めて、国会での論戦などを通じて国民の信頼を取り戻す努力を積み重ねていくとの意向を示した。
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