15日午前、参院本会議において「運輸の安全性向上のための鉄道事業法等の一部改正法案」に関する代表質問があり、水岡俊一参院議員が鉄道・航空機・タクシーの運行の安全性確保など同法に関連した幅広い質問を行った。
まず水岡議員は、東武伊勢崎線踏切事故、JR福知山線脱線事故、JR羽越線脱線事故など公共輸送における事故の多発、一昨日明らかになったスカイマークエアラインズの機体修理の怠慢などの事実を指摘して、本法案によって今後公共輸送の安全確保がどのように確保されるのか質問した。北側国土交通大臣は、本法案の内容を列挙して、総論的な答弁を行った。
続いて水岡議員は、地元の尼崎において発生し多くの人命を失わせた福知山線脱線事故を取り上げ、国交大臣の認識と対策を質した。国土交通大臣は、これまで実施してきた安全管理対策の充実やJR西日本に対する監査などについて答弁した。さらに水岡議員は、規制緩和が効率化を通じて事故につながったのではないかと質問したが、国交大臣は経済的規制の緩和は必要であり、安全の確保には配慮しているとの答弁を行った。
水岡議員は、これまでの事故調査や事故対策は施設面や技術面が中心となっており、人間のミス(ヒューマンエラー)について軽視されていたのではないかと指摘した。これに対して国交大臣は、危険を認識しつつ行われる不安行動を防ぐためには経営トップから現場まで一丸となった安全マネジメントの体制が必要であり、国交省としてその確立を監視していくと答えた。また川崎厚生労働大臣は、労使で構成する安全衛生委員会の活用や内部告発への対応をすすめると答えた。
水岡議員は、特にタクシー事業における規制緩和が長時間労働や低賃金を生み安全性を損なう結果になっていると指摘して、政府の対応を質した。国交大臣は事業所に対する無通告監査の実施や労働基準関係機関との連携強化などの対策を取っていると答え、厚労大臣は需給調整撤廃が原因とは言えないとしつつも、労働時間と安全性の密接な関連性などから、労働関係法令をもとに厳正に対処すると答えた。
最後に水岡議員は、運輸事故の原因究明と調査提言能力の向上の必要性を訴え、そのためには航空・鉄道事故調査委員会の独立性を強化し、全ての運輸事故を対象とした独立行政委員会である「運輸事故調査委員会」とすることを提言した。これに対して国交大臣は、事故の調査には国交省との緊密な連携が必要であり、現行の調査委員会において独立性は確保されているので、独立行政委員会には賛成できないと答弁した。
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