衆議院郵政民営化に関する特別委員会は1日午後、郵政民営化関連法案に関する参考人質疑を実施。前田晃伸参考人(全国銀行協会会長)、紺谷典子参考人(エコノミスト)、松原聡参考人(東洋大学経済学部教授)、山崎清参考人(郵政産業労働組合中央執行委員長)がそれぞれ意見陳述を行った後、民主党・無所属クラブから、伊藤忠治議員が質問に立った。
冒頭、伊藤議員は、強引に郵政民営化を推し進めようとする小泉首相のやり方は、民営化は行わないとする中央省庁等改革基本法第33条1項6号の規定に違反し、4年を一期とする中期経営計画の実績評価と総括を行うとする日本郵政公社法第24条の規定を達成させず、慎重な審議を求める国民世論や地方議会の郵政民営化反対決議、自民党内でも賛否が割れている現状を無視した、「議会制民主主義を否定するもの」だと指摘した。
伊藤議員はまた、「市場原理万能主義」の政治家が進める競争を推進する政策が、公共サービス部分にまで及べば、サービスが破壊されて取り返しのつかないことが起こり得る例として、エンロン事件などを挙げて説明を行った。そして、公社の形態で将来的にも経営が可能か、4年間の中期経営計画の達成状況の総括が行われる前に、「早くせねば元も子もなくなる」と言わんばかりに民営化を急ぐ小泉首相や竹中郵政民営化担当相の手法に対して、参考人に見解を求めた。
民主党推薦の紺谷参考人は、小泉改革は「官から民へ、中央から地方へ」というが、移転したのは「痛み、負担だけ」で、「国民が安心して将来に明るい展望を持てる社会をつくる」という政治の役割を果たさず、正しい情報を公開せずに「財政赤字なのでこのままでは危ない」などとして、政府は国民の不安をあおっているとの認識を示した。
紺谷参考人は更に、「道路」も災害時に国民の避難経路の役割を果たす、いのちを守るネットワークの一つだと指摘して、民営化で採算性ばかりを見るようになってはならないなどと発言。「国民の共有の財産である郵政事業の、とりわけネットワーク」が民営化によってどうなるか分からないところに押しやられることが問題だと伊藤議員が説明した、民主党の郵政民営化問題についての基本的な考え方に同調する意見を述べた。
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