平成11年度政府予算案は19日、すべての質疑を終え予算委員会と本会議で採決に付された。民主党は組み替え動議を提出したが否決され、政府案が自民、自由党などの賛成多数で衆議院を通過した。
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午前の予算委員会で、民主党は「旧来型の公共事業だけが突出し、景気回復にむしろマイナス」として、予算の組み替え動議を提出。池田元久議員が趣旨説明に立ち、1.所得税率の一律2割引き下げと「子育て支援手当」創設 2.基礎年金への国庫負担の引き上げ 3.「都市型」公共事業への予算の重点配分 4.失業給付、雇用政策の充実 5.ODA援助の厳正化 6.国債発行の抑制による行革断行----の6項目を柱とする組み替えを要求した。続いて、生方幸夫議員が討論に立ち、「額は大きいが、中身は単なる公共事業の大盤振る舞いで、肝心の日本経済改革の政策が盛り込まれていない」「少子・高齢化や失業対策に対するセーフティネットが不十分」などと政府案の欠陥を指摘して反対した。
午後からの本会議で組み替え動議の趣旨説明に立った小林守議員は、政府予算を「利益誘導を優先したバラマキ手法をとり、将来ビジョンや哲学・理念を欠き、行政改革や経済構造改革を後退させる、景気回復や国民生活立て直しにもつながらない欠陥予算」と断じ、予算案の撤回を求めた。
また討論に立った海江田万里議員は、「5000億円もの公共事業予備費は使途不明金であり、財政民主主義の根幹を否定するもの」として削除を求め、また「かつてない放漫財政に陥り、将来の財政再建に全く見通しがたっていない」と批判し、政府の行政改革の経費節減効果への疑問や、政府開発援助の不透明さなども指摘した。
記名投票の結果、政府予算案が可決したが、民主党は同日、中野政調会長名で談話を発表し、「野党が多数を占める参議院において、国民の期待に応える予算とするよう全力を傾注していく」と決意を表明した。
予算案審議は22日から参議院予算委員会に場を移し、角田義一、今井澄両議員が論戦を挑む。
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