●衆院予算委で日債銀関係者を参考人招致
衆議院予算委員会は25日午後、日本債券信用銀行に対する1997年の増資や昨年3月の公的資本注入の際に、同行と大蔵省が経営実態を意図的に隠していたとの疑惑をめぐり、東郷重興・前日債銀頭取、松下康雄・前日銀総裁、山口公生・元大蔵省銀行局長の3氏の参考人招致を行った。
質問に立った民主党の仙谷由人衆議院議員は、大蔵省検査の第3分類と日債銀の自己査定額の違いの根拠をただしながら、日債銀が不良債権の受け皿に乱造したペーパーカンパニーのリストを示し、「私たちが調べた24社だけで借入金が1兆5000億円ある。負債総額が1兆7000億円、資本の欄を見ればマイナス3342億円もある」とそのとんでもない内容を指摘。
他議員の質疑で東郷氏が「大蔵検査の際、子会社への支援態勢が明確なら倒産懸念はないと言われた」と答弁したことに対し、「大蔵省の銀行指導はその資産内容の健全性を担保するためにやっているはず。こんな大赤字の会社に支援を継続するということは、追い貸しや背任をし、粉飾決算を認めるということではないか」と声を張り上げ、「当時のルールでは不良債権への引当額は金融機関が公認会計士と相談して決めるもので、大蔵省はそこまで指導できない」と公認会計士へ責任転嫁する山口氏を詰問した。
山口氏は、金融危機管理審査委員会の委員だった当時の松永蔵相に対して、日債銀の「資産査定が甘い」ということは伝えていたものの、具体的な検査結果については報告していないことを認めた。
続いて質問した上田清司議員は、松下氏に「97年に日銀は考査もせず800億円を出資したのか」と尋ねた。松下氏が「95年2月以降、現地調査はしていないが、聞き取り調査はした。リストラ策を断行するなど経営改善に向けた努力をしていたことなどから総合的に判断した」と答えたのに対し、上田議員は「総合的判断をして、なぜこんないいかげんな会社がいい会社なんだ」と怒りをあらわにした。
また上田議員の質問に対し、東郷氏は700億円という不良債権の自己査定額を日銀に伝える際に、事前に大蔵省に連絡していたと述べた。さらに、東郷氏は「ペーパーカンパニーだが、飛ばしではない。不良債権の回収を最大限進めるために設立したもの。簿価ではなく時価で移し替えて事業化するのだから問題ない」と主張して、ひらきなおった。
仙谷議員は質疑後の会見で、「大蔵省は公認会計士に検査の責任を押し付けて逃げている。でたらめな答弁だった」と不満を表明。民主党は、今回の参考人質疑を受け、「さらに不明確な点が出てきた」(鹿野国対委員長)として、関係者の証人喚問や関係資料の提出を再度要求していく方針だ。
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