27日午前、「安全」をテーマにした参議院予算委員会の集中審議で、大江康弘議員は、原子力発電や危機管理などの問題を取り上げた。
大江議員は第一に、北陸電力志賀原発2号機の運転差し止め命令(24日、金沢地裁)の問題に言及。内閣府の原子力安全委員会が作成した耐震設計指針に不備があるとした判決に対する政府の見解を質した。広瀬原子力安全・保安院長は答弁で、最新の知見を踏まえて安全確認を行っていること、経済産業省は今後とも厳格な安全規制を行い、耐震安全性の確保の条件について説明することなどを述べた。内閣府原子力安全委員会の松浦委員長は、耐震設計審査指針の改定に向けた議論は大詰めの段階に至っており、早期に取りまとめるよう努力するとした。大江議員は、安全に対する説明責任を果たすようにと強く要請した。
大江議員は続いて、民主党の石井一前副代表の国家危機管理都市構想を取り上げ、バックアップ・シティの整備に向けて危機管理都市推進議員連盟が活動していると紹介した。構想に対する見解を問われた小泉首相は「東京一極集中はあまり好ましいことではない」と述べ、国民の安全を確保する災害に強い都市の設置に賛同の意を表した。大江議員は危機管理の一例として、内閣総理大臣が職務を果たせない場合の代理の指定に触れたが、小泉首相は、米国のように継承者を法律で定める考えを持たないことを答弁した。大江議員は「国会が真剣に考えていかなければならない喫緊の課題」との見解を示した。
大江議員は最後に、規制緩和と安全性の問題について北側国土交通大臣の認識を質した。耐震強度偽装問題の発覚を受けて取りまとめられた建築基準法の改正案について説明を求めたほか、航空やタクシーなどについて、民営化や規制緩和の大きなマイナス効果が現れていると指摘した。北側大臣は、経済的には利用者にプラスの面もある一方、安全面の規制については堅持しなければならないとした。大江議員は、「ハード面の安全が構築されてこそ、安心という意識が持たれる」との認識を示して質問を終えた。
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