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2006/03/27
【参院予算委】内藤議員、社会保障、特別会計の改革のあり方質す
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 参議院予算委員会で27日、小泉首相も出席して総括質疑が行われ、民主党・新緑風会の内藤正光議員が平野達男議員の関連質疑に立ち、社会保障制度改革、特別会計改革等に関して小泉首相はじめ関係大臣に質した。

 内藤議員はまず、社会保障制度改革を取り上げ、「厚生年金と共済年金の統合が進むやに聞いているが」と前置きして、その方向性は正しいが国民年金を抜きにしての年金制度の抜本改革はあり得ないのではないかとの問題提起を行った。

 国民年金の年金負担者の半数以上が未納・免除・未加入になっている状況に改めて言及した内藤議員は、この未納分を厚生年金、各種共済年金で穴埋めしている現実を明らかにした。

 厚生労働省がこの点について「現在必要な給付費のみならず、将来の給付費も見込んだうえで財政計算をしている。だから肩代わりはさせていない。また、払わない人は将来給付がないから財政上問題ない」との見解を示していることについて内藤議員は、根本的な間違いがあると指摘。預貯金とは性質を異にして、現在給付に必要な13・7兆円を現役で支えるというのがそもそもの年金の基本的なしくみであることを改めて強調した。

 「まじめに払っている人が未払い分を補っているという現実がある」と重ねて指摘し、こうした歪みを是正しない限り、他の制度にもほころびが出始めると分析。同時に国民年金未納者ほど、将来的には国民年金に頼らざるを得ない状況に陥る可能性が高いとの見方も示し、「そこに矛盾が生じる」と指摘するとともに、払えない人が生じる制度設計にこそ問題があるのではないかと分析してみせた。

 そうした認識に立って内藤議員は年金目的消費税を導入することによる年金の一元化を行い、国民全てによる年金完納を行うことで、65歳以上の年金支給を実現することこそが、国の果たすべき役割であると指摘した。

 認識を問われた小泉首相は「厚生年金と共済年金の一元化が先ではないかというのがわれわれの考え方だ」などと答弁した。それに対して内藤議員は「国民年金の問題は放置しておける問題ではないとの意識はあるか」と改めて確認し、「未納・未加入の問題は大きな問題。放置できるものではない」との答弁を得た。

 続いて内藤議員は診療報酬明細書(レセプト)の電子化の意義について首相に質問。小泉首相の「作業の手間も省け、どのような病気に対してどのような診療が行われているか調査しやすい。同時に経費の点でも負担が軽くなるため、税金投入も保険料負担も軽くなる可能性が高い」と述べた。こうした答弁を受けて内藤議員は「コスト削減だけでなく、その先が大事」と指摘し、単なる効率化のみならず、データの蓄積・分析を通じて医療の標準化づくりを推し進めることに繋げていくことが重要との見方を示した。「医療の質の向上と医療費の適正化に向けては不可欠なステップだ」と述べた内藤議員は、レセプトの電子化によって適正医療のガイドラインづくりにまで繋げていくよう小泉首相に注文をつけた。

 次に特別会計改革に言及し、特別会計は各省庁の既得権益となり、潤沢な資金ぐりを背景に無駄な事業や天下りの温床となっているとの見方を示した内藤議員は、行政改革推進法案にも盛り込まれた特別会計改革は本来、特別会計そのものを存続させるか否かの命題であったはずが、存続させることを前提とした議論展開となっている点を指摘。「検討」という文字が随所に見られ、改革の理念・方向性が不明確であることも問題視した。

 そのうえで内藤議員は、公共事業関連5特会の統合について、「道路整備、治水整備、公安整備、空港整備、都市開発資金ユーズの統合だが、本当に勘定まで統合して事業の優先順位付けができるのかがポイントとなってくる」との見方を示し、どういう統合になるかを確認。谷垣財務相は「社会資本整備重点計画法に位置づけられた共通点がある」として、一本化の作業を進めていると答弁。縦割りの弊害を解消して、ムダの排除ができるような制度設計にしていかなければいけないとの認識を示したが、どういう形になっていくかはまだ明らかになっておらず、適切な措置を検討していくなどとした。

 内藤議員は「これを踏まえて来年度は特別会計整理合理化法案を具体化していくわけだが、残念ながらそのときは小泉総理は総理ではない。だからこそ、総理の改革にかける思いを具体的に語らなければいけない」と述べ、5特会の統合については少なくとも勘定もひとつにして事業の優先順位づけができるようにしていかなければならないと指摘した。

 しかし、北側国土交通大臣は勘定までも統合しなくても共通業務の一本化などによって5特会の統合は可能といった認識が示され、国民から見てわかりやすくするのも大事などとした答弁。これを受けて内藤議員は、再び確認し、勘定の統合も今後の課題との答弁を引き出した。

 続いて内藤議員は地震再保険特会を取り上げ、その支払い実績等を谷垣財務相に確認し、阪神淡路大震災の際に62億円を支払ったのが唯一の例であることが明らかにされた。平成16年現在での積立金残高は9440億円に上るとの答弁もあった。

 それを受けて内藤議員は、「ほぼ1兆円の積立金があり、そこでどこまで積立金を積んでいくつもりなのかということになる」と指摘し、歳入は500億円〜600億円あるのに対し事務費は1億円程度であり、そのほとんどが剰余金として積み立てられていくのが実態であることを指摘。財務相としては関東大震災を想定して積立金を積み上げられて財投運用されていくわけだが、この点について内藤議員は「本当に必要かという観点で見直しを行う必要がある」と指摘。有効活用のあり方を十分に検討するよう、谷垣財務相らに強く要請した。

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