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2005/07/14
医療観察法の施行について (談話)
民主党『次の内閣』ネクスト法務大臣 簗瀬 進
民主党『次の内閣』ネクスト厚生労働大臣 横路 孝弘


 政府は、「心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律」(医療観察法)の体制整備が整わないまま、7月15日に施行することを決定した。

 心神喪失者等による重大犯罪については、安易な精神鑑定、刑事施設での精神医療の不備、地域における精神保健福祉体制の未整備などの問題があるが、政府提案の医療観察法案は、これら本質的な問題に対して何の解決策も示していない、かえって精神障害者への差別・偏見を助長する危険性のあるものであった。

 民主党は、こうした理由から政府案に反対し、2002年5月に、抜本改正をめざし、精神鑑定センターの設置、措置入院制度の適正化、精神科集中治療センターの設置、社会復帰支援体制の強化を柱とする「司法と精神医療の改革のための民主党案」をとりまとめ、法改正の必要な部分については議員立法を提出したが、与党の強行採決により、2003年7月に医療観察法が成立してしまった。

 施行日を今月15日に控え、指定入院医療機関を全国で24ヶ所(700床)程度整備する計画のところ、国立施設では17年度中に整備さえる見通しの施設が8施設中3施設(約90床)、都道府県関係についてはすべて調整中と、準備が大幅に遅れている。これでは、年間300人から400人とされる対象者を適切に処遇することができないことになる。こうした状況に対し、裁判所や弁護士会、医療機関から法の円滑な運用について懸念が示されており、現場に多大な混乱をきたすことになる。医療観察法案の国会審議において、政府が責任をもって指定医療機関を確保すると答弁しておきながら、施行期日までに受け入れ先を準備できなかった政府の責任は極めて重い。

 また、政府は、受入先の不足分を補うために、指定医療機関の規模と設備の基準を満たさない、「代用入院医療機関」で対応しようとしているが、それでは、対象者が必要とする高水準の手厚い医療を提供できないので、到底容認できない。

 政府には、施行準備が施行に間に合わなかった責任の所在を明らかにするとともに、現場に混乱を生じさせないための対応策を早急に提示するよう、強く要求する。


以 上
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