参議院郵政民営化に関する特別委員会で15日午後、峰崎直樹参院議員に続いて大塚耕平参院議員(ネクスト総務副大臣(郵政改革担当)・政策調査会副会長)が質問に立ち、民営化関連法案が、「目的とビジョン」、「法律としての完成度」、「現実的な可能性」の3つの観点からみて不十分で、欠陥法案であることを明確に示した。
大塚議員は、民営化された会社が会社法によって、その定款に資産等を明記しなければならない点をまず指摘・確認した上で、郵政公社の資産について質した。竹中郵政民営化担当相は、4会社(郵便会社・窓口会社・貯金会社・保険会社)について、それぞれバランスシート上の数字を回答したものの、定款に明記する数字については、「評価委員会が評価する」とし、実際の資産・負債・自己資本ではないことを認めた。
次に、郵政公社からの民営化に関する報告書に、現場の声として2007年4月からの民営化に、リスク・不安・懸念が数多く示されていることを大塚議員は示し、特に「55の政省令が、2007年4月に間に合うように決まったのか」と質した。竹中担当相はこれに対して、「法律が上がってから、しっかり定める」と答え、まだ決まっていないことを認めた。大塚議員は、「今の日程で本当に間に合うのか」と、再度問い質したが、竹中担当相は、「カバーし得る体制で進んでいる」と答え、楽観論・精神論に逃げ込んだ。
大塚議員は小泉首相に対し、公社からの報告書を読んだか、知っていたかを質問。小泉首相は、生田郵政公社総裁から話を聞いているとだけ答え、その実情や現場の不安の声を知らないことを暗に認めた。大塚議員は、報告書の最後の部分に、精神論でシステム統合への対応を乗り切るとしている点を取り上げて、「精神論で解決できるものではない」とし、2007年4月にこだわらず、法の附則で10月1日の施行もできるとなっていることを指摘し、「もう少し伸ばせるように、再修正してはどうか」と提案した。竹中担当相は、「暫定対応可能となっている」と答えるだけで、このままではシステム上のトラブルで客に被害を与える甚大な事故に直結するとの現場の声には、全く応えようとしなかった。
また大塚議員は、3月に3連休がないことを示し、土日の休みだけで本当にシステム対応が可能かどうかを質したが、生田総裁は、「正月休みにやる予定」と答え、不安の解消につながる回答はなかった。そのため大塚議員は、「心意気で何とかできる話ではない。責任を持つべきだ」と厳しく釘を刺した。
次に大塚議員は、郵便貯金銀行や保険会社は独占禁止法違反になるのではないかについて質した。竹中担当相は、段階的に金融サービスを拡大するので独占禁止法に抵触しないとした。このため大塚議員は、新規事業を認可する際に、公正取引委員会と協議するよう求めた。竹中担当相は、「民営化委員会で検討し、その意見を聞き適切に対応する」と答えた。
続いて大塚議員は、小泉首相に、「この法案のどの部分に詳しいのか」と質問。首相が質問に答えず、基本方針の5原則を読み上げ始めたため、審議は一時中断した。再度の質問に対して首相は、「必要性、大局観、時代の流れに詳しい」と答え、法案の内容には詳しくないこと、丸投げ状態であることを認めた。
最後に大塚議員は、法の目的・改革の本質について、日本のマネーフローを変え、官に流れている資金を民間に回すことが法の目的なら、何故この法案の第1条に書かないのかと詰問。竹中担当相は2条に精神は入っているなどと逃げた。
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