参議院郵政民営化に関する特別委員会で15日、民主党・新緑風会の江田五月参院議員に続き、峰崎直樹参院議員(『次の内閣』ネクスト経済財政・金融担当大臣)が質問に立ち、衆議院で示された修正の内容等を中心に、小泉首相や関係大臣を質した。
峰崎議員がまず、修正案の受け止め方について質したのに対して小泉首相は、「国民の不安感・懸念を払拭する必要があるとの議論を真摯に受け止めて骨格・基本方針は変えないでどう明確にしたらいいかということで出された」などと答弁。衆院での委員会質疑等で、「文言を変えただけで事実的中身は変わらないか」との質問に、「骨格も基本方針も中身もまったく変わっていない」と答弁した姿勢と現在も同様か、衆議院で反発を招いたので参議院では言い方を変えて丁寧に答弁しているだけか、峰崎議員が重ねて質すと、「骨格・基本方針・中身は変わっていない」と明言した。自民党の柳澤議員は「(小泉総理の答弁における)表現は、われわれからすると立つ瀬がないなと思う表現があった」などと発言した。
続いて峰崎議員は、いったん処分した貯金会社・保険会社の株式を再び所有したり、相互持ち合いする理由を質問。竹中郵政民営化担当相は、「国の関与を断ち切るという観点から処分してもらう。それによって民間と対等の民有・民営になってもらう」などとした上で、株主権の連続的な行使のために株主の名簿を確定する基準日を、従来は定款で行うとしていた点を法文に明記するとの修正がなされたなどと説明した。峰崎議員は、貯金会社・保険会社をいったん売却すれば、売却益に税金がかかってくることを説明した上で、わざわざ税金を払った上に買い戻すことへの疑問、買い戻すということが分かっていれば、株式市場で格好の餌食になる懸念を示し、経営のやり方として問題だと指摘した。また、金融市場において株の持ち合いはできるだけ解消しようという流れにある中、小泉内閣が構造改革を進めるにあたり提示している整合性の原則に照らし合わせたとき、修正案どおり相互持合いすることは小泉構造改革に逆行するとの考えを示した。同時に相互持合いされることにより、独占禁止法や銀行法上問題を生じることを指摘した。
峰崎議員はまた、郵便局会社の業務範囲について確認。修正案において郵便局を活用して行う、地域住民の利便の増進に資する業務として銀行業・生命保険業の代理業務を例示している点をめぐり、完全に民営化されて以降も必ず行うと理解してよいかを質問。政府側からは、「例示したのであって、義務付けではない。例示することによって国民の不安を払拭することができる。将来的には期待ができる」などとするあいまいな答弁にとどまり、国民不安を払拭するまでには及ばない現状が改めて明らかになった。
民営化された銀行・保険会社が、郵便局を行わないと決定をして撤退しようとする際、地域貢献基金の発動による交付を受けるなどを維持することが可能か、財政面のサポートについても峰崎議員は質問したが、竹中担当相は「二重三重にしっかりと担保されるようなものになっている」としたが、明確な説明はなされなかった。峰崎議員は、地域貢献基金の発動基準が明確でないことを指摘するとともに、運用については総務省に丸投げされており、基金制度が有効に機能するかどうか疑問である点等も指摘した。
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