参議院予算委員会は16日、大詰めの締め括り総括質疑を行い、民主党・新緑風会から今井澄、平田健二両議員が質問に立った。
今井澄議員は、12日に経済企画庁が発表した98年10−12月期の国内総生産が実質で前期比0.8%、年率換算で3.2%減少したことを取り上げ、「事態が一時的なものと甘く見るのは危険だ」と指摘。「年金や雇用の不安が続く限りは、消費が拡大する環境にはない。消費税還元セールとか地域振興券などで一時的な動きがあっても長続きしないのではないか」と、中低所得層にとって増税になる政府の減税案への懸念を改めて示した。堺屋経企庁長官は「的を得た指摘だ。不安心理が日本を支配している」と認めながらも、減税については「一時的な減税では不安感がある。恒久減税になったことで安心感が出てきている」と論点がかみ合わなかった。
また、国旗・国歌問題について今井議員は、「教育現場に持ち込まれていることが問題だ。急に学校で国旗を掲揚し、国歌を歌わせるために法的整備が必要だと言えば、ますますトラブルを固定化する」「どれだけの大人が祝祭日に国旗を掲げているか。やるのならまず大人から国民的議論をはじめるべきだ」と主張した。
さらに今井議員は、野中官房長官が9日の衆院内閣委などで前向きな発言をした恩給法の国籍条項問題について、「内閣として何らかの対処をすべきではないか」とただしたが、小渕首相は、「国籍条項は制度の基本的約束で、現行法上外国人を恩給制度の枠内で処理することは大変困難であり、慎重に検「すべき」と否定的な見解を示し、宮下厚相も「これまでの積み重ねの中で今の結論が出ているので、にわかに法律を改正することは考えていない」とつれない答弁。野中官房長官は「現在官房副長官の元に外政審議室等でさまざまな問題を含めて検討させている」と苦しげに述べたものの、政府内での微妙な温度差を見せた。
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