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2005/07/20
【参院郵政特】誰のための民営化か 平野・高橋・尾立議員が追及
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参議院郵政民営化に関する特別委員会で20日、民主党・新緑風会の平野達男・高橋千秋・尾立源幸参院議員が質問に立ち、地域住民の利便に即した民営化につながるか否か、郵政民営化法案の疑問点などを関係大臣に質した。

 平野議員は冒頭、自民党の片山参院幹事長が郵政民営化法案に関して、「法案が通っても長期的に郵政事業を見守っていく議員の会があってもいい」などと述べ、法案が成立した場合に推移を検証する議員連盟の結成を協議している問題に言及。「反対派への説得材料といえる」と指摘するとともに、議連をつくることでとりあえずの賛成を呼びかける行為を「ばかげた話」と批判。委員会審議は政府案として確立したものを審議するのが大前提であり、現状では委員会審議が空疎なものになりかねない実態を極めて厳しく断じた。

 平野議員はまた、郵便局の設置規準について質問した。従来の日本郵政公社法では「郵便局をあまねく全国に設置しなければならない」としているのに対し、郵便局株式会社法案では「あまねく全国において利用されることを旨として郵便局を設置しなければならない」として、設置義務化のしばりが緩和している点を指摘。同時に、日本郵政公社法では業務範囲が7項目と広かったのに対し、郵便局株式会社法案では郵便窓口業務と印紙の売りさばきのみである点も列挙。従来のサービス維持は望めない実態を浮き彫りにした。

 更に、「過疎地については設置規準として現に存する郵便局ネットワークの水準を維持することを旨とし」などとした過疎地対策の省令などを提示して竹中郵政民営化担当相が、「表現は異なっているが国民の利便性を十分配慮するという考え方は変わらない」と答弁したが、従来は「あまねく全国に」設置されていたのであって、過疎地を特化することで、改善どころか対象範囲を縮小した実態も審議から明らかになった。

 続いて質問に立った高橋議員は、かつて農協を整理・統合したときの例を引き、当時も利便性を考えて残すと言っていた農協が無くなり、関連の事業で株式会社となったものも赤字となって無くなり、働いていた職員も離れたとして、「国民の郵便局が無くなるのではとの不安を払拭できない。何のための誰のための民営化か」と根本を改めて問い質した。竹中担当相は、「経済を活性化すること、国民のために郵政のサービスを持続可能なものとすること」と従来の答弁を繰り返すだけで、衆議院などの審議で明らかになった不安に応えようとはしなかった。

 次に高橋議員は、「民営化の費用はいくらか」と質問、竹中担当相はシステム対応にかかわる費用については答えたものの、全体の費用がいくらになるかについては答えなかった。このため、高橋議員は重ねて「出せないのか、見積もりをしていないのか、どちらか」と厳しく追及した。しかし、竹中担当相はこれにも答えず、民営化に関するコストすら試算していない杜撰さが明らかになった。

 高橋議員は、民営化委員会にアメリカの保険会社を入れろとの話があることを示し、この有無を質した。竹中担当相は「全くない」と答えたが、高橋議員は確かな筋からの話だとして今後も追及することを明言した。ほかに高橋議員は政府見通しの10年間でのGDPが1.5倍となる根拠、資金の流れ、国債発行、引き受けなどについて質問し、この中で高橋議員は、90年代に資金が民間から官へ国債購入にシフトしていることを取り上げ、官から民への資金の流れを郵政民営化目的としていることを批判した。

 続いて質問に立った尾立議員は冒頭、本来の目的は財政赤字を解消、克服することにあるとして、「早くこの法案は廃案にして、本来の税金の無駄遣い防止の議論をすべき」と、改革の本質、本来のあり方を指摘した上で資金の流れを中心に質問した。

 尾立議員は、国債、財政投融資、財投債の資金がどうなっているかを質問、郵便貯金が占めている割合が非常に大きいことを改めて示し、民営化によってこの資金はどうなるのかを質した。谷垣財務相は国債以外の資金量が減っていることを挙げ、現状必要とされる12兆円程度の財投債資金は民間市中で引き受けてもらえるとの認識を示した。しかし、国債に関しては増え続けることを認め、郵便貯金銀行にある程度引き受けてもらいたいとした。これに対して尾立議員はそれでは流れ方が変わっただけで「民から官への流れは変わらない」と民営化の目的が達成されないと批判した。

 また、尾立議員はすでに間接金融市場は飽和状態であるとの金融関係者の分析を引き、「GDPが1.5倍にならないと、郵便貯金銀行は貸付できず潰れてしまう。竹中さんは郵便銀行を潰したいのか」と質した、これに対して竹中担当相は10年間で1.5倍の成長が可能であるとの楽観論を述べるだけで、何ら説得力のある説明はできなかった。

 最後に尾立議員は「小泉首相の自己満足のための民営化、メガバンクのためにやっているのではないか。アメリカのためではないか。アメリカの国債を買うためではないか。民営化の真髄はここにあるのではないか」と今回の民営化を鋭く批判し、「無駄を省く努力こそ必要」と質問を締めくくった。

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