横路議員は、まず「憲法の持つ平和主義と同時に、日米安保条約の果たしてきた役割を踏まえながら、国としての原則を明確にすることが大事」だと前置き。「朝鮮半島に緊張と不安定な要素が残っている」という小渕首相の答弁を受けて、「韓国も金大中大統領は『冷戦は自分の時代に終わらせる』という戦略的目標をもって段階的・包括的アプローチを進めている。中国も援助をしている。アメリカも戦争抑止を外交目標において努力をしている。しかし、日本は何をやってきたのか」と、スタンスのはっきりしない政府の外交姿勢をただした。小渕首相は「正常化のためのあらゆる努力はしているが、国交がないのでなかなか困難」などと述べた。
さらに横路議員が、「前提を作らずにまず交渉のテーブルを設け、拉致問題や核問題について話し合うべき」と迫ったのに対し、小渕首相は「KEDO(朝鮮半島エネルギー開発機構)への応分の協力は(北朝鮮に)核開発施設がないことが前提だ。可能ならわが国自身の視察が実現でき、しっかりした確認ができれば、もっと国民へのお願いが進む」と答弁し、「アメリカ任せ」との批判に反論した。
●自衛隊の偵察活動は武力行使と一体
また「自衛隊の偵察・警戒監視活動による米軍への情報提供は武力行使と一体ではないか」との横路議員の追及に、政府は「一般的な情報交換であり、実力行使ではないので、憲法上の問題は生じない」(大森内閣法制局長官)とかわした。
周辺事態の際の民間や自治体の協力については、横路議員が「政府は空港、港湾の提供や公立病院の米兵の受入など10項目を挙げているが、協力はこれだけか」とただしたのに対し、野田自治相は「例として10項目を示したもので、他に施設や土地の提供、貸与も考えられ、事態ごとに異なり網羅的に確定しにくい」と答弁。
これに対し、横路議員は「1994年当時に朝鮮半島有事を想定して、在日米軍の対日協力要求が出されたが、それは1059項目。全国の空港、港湾にわたっている」と指摘。さらに湾岸戦争時のサウジアラビアの例もあげ、「周辺事態は簡単なことではない。日本全体が基地化する事態なのに、政府は全く説明していない」として、「国民の権利義務には直接絡まない」とする政府の説明不足を批判した。
また横路議員は、対米支援の基本計画をめぐる国会の関与のあり方について、自衛隊の防衛出動に「事前の国会承認」を必要としている現行法などをあげ、「事前承認とすべき」と政府案の修正を求めたのに対し、小渕首相は「万一の時に国会承認で時間的な問題が起き、法案の趣旨が達成できるかという問題があるが、国会で十分な論議をしてほしい」と述べ、従来より柔軟な姿勢を示した。
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