参議院本会議が22日午後に開かれ、防衛庁設置法等の一部を改正する法律案に対して、民主党・新緑風会を代表して、喜納昌吉参院議員が反対討論を行った。
冒頭、今年は終戦・被爆から60年となると述べた喜納議員は、「争いの名に終止符を打つよう務めねばならない」と表明した上で、国民への明確かつ詳しい説明がなく、国民意思の確認もなされない本法案は「誠に強引で、深刻な問題をはらむ」と指摘した。
喜納議員はまず、防衛庁設置法、自衛隊法、防衛庁職員給与法など、本来別個にされるべき法案が一体で提出されたことについて、「審議を回避し、問題点を隠そうとする姑息な意図が感じられる」と指摘。文民統制(シビリアン・コントロール)を確保する観点で、民主党が国会の事後承認の仕組みを求めて与党と行った修正協議も、事実上のゼロ回答に終わったと報告し、国会を軽視した、議会政治を葬り去る行為がもたらし得る危険性を語った。
喜納議員は次に、米国で軍産複合体が大きな産業であると指摘し、日本においても今後、高額な費用をかけて設備が整えられ、軍産複合体が形作られる懸念があること、日本製部品が米国経由で第三国へ輸出され、武器輸出三原則に抵触する恐れがあることを示した。その上で喜納議員は、国民の血税が利権や戦争に使われないよう、民主党は、有効性や費用対効果について、引き続き厳しく監視すると言明するとともに、米国で行われたミサイル実験の詳細を、非公表とする態度を、政府が一向に崩さない状況を厳しく批判した。
喜納議員は、これまで政府が国民に対してとってきた安全保障に関する態度について、「国民を守るという名の下に、詭弁と屁理屈を弄してきた」と厳しく指摘し、「政権は、権力を失う恐怖から、国益に名を借りた利権と日米同盟に挟まれて、もがいている」と分析。そして喜納議員は「官僚機構だけでは国は守れない」「国民の存在がまずあって、公僕として官僚が国民の意思に従うのが正しい構図」などとして、国会に説明を行い、国民の意思を確認する重要性を改めて示した。
「政治と政府の役割は、国民の意思を代表して、国民と国の安寧を維持すること」だと指摘した喜納議員は、国益と人類益を整合させ、狭い愛国心を、国家を超えた人類愛に昇華させ、大和(ヤマト)の名にふさわしい、大いなる和を打ち立てようと訴えて討論を締めくくった。討論後の採決では、反対94、賛成126で、同法案は可決された。
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