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1999/03/26
周辺事態認定・武器使用に統一見解を/衆院ガイドライン特で伊藤英成、岡田克也両議員が質疑
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衆議院の日米防衛協力指針特別委員会は26日、周辺事態法案などガイドライン関連法案の集中質疑を行った。民主党から伊藤英成副代表、岡田克也政調会長代理が質問に立ち、いまだ明らかとなっていないガイドライン法案の運用上の問題点を追及した。

●恣意性を排したルールづくり必要

伊藤英成衆議院議員

 伊藤英成議員はまず、日本海沿岸で発見された不審船の逃走について事実関係、および政府の対応をただした。

 野呂田防衛庁長官は「自衛隊法7条により海上自衛隊を出動させた。今後省庁間の連絡体制も含め、戦術論の検討が必要」とし、高村外相は「北朝鮮領海内へ逃走した船舶・人員の引き渡しを、在米北朝鮮外交官に文書で申し入れた」と状況説明を行った。伊藤議員は「日本として直接、北朝鮮と意思疎通するべく努力すべきだ」と強調した。

 続いて、伊藤議員は、まず米国のペリー前国防長官の「有事にアメリカは協力するが、日本がどこまでできるのかハッキリしてほしい」との発言を引用しながら、周辺事態の認定と日本の協力について「恣意性、あいまいさを排してルールをしっかりさせるべき」と強調。政府に対して周辺事態の認定についての統一見解を出すべきだと要求した。

 また自治体協力について、伊藤議員は「自衛隊への協力を自治体が拒否しても、罰せられないか」と追及。野田自治大臣は「法的制裁を背景に協力を強要するものでない。港湾管理者としての責任に反しない限り問題ない」と答弁。

 また民間への協力依頼について、伊藤議員が「法律に『国の安全配慮義務』を明文化すべきだ」としたのに対し、野呂田長官は「法案では、不測の事態が発生しないことを前提に民間協力を依頼するとしている」として否定的な考えを示した。また米軍により民間の営業上の損失が発生したケースについて、伊藤・内閣安全保障室長は「相当の因果関係が認められる場合は“補償措置”を講じる」とし、港湾の優先使用で発生した損害についても「防衛施設庁が支払う」と答弁した。


●邦人救出の「準備行為」に法的根拠を

岡田克也衆議院議員

 二番手として質問に立った岡田克也議員は、まず「周辺事態法は従来のPKO法に比べて、武器の使用に関して踏み込んだ内容になっている」として、「PKO法において海外における武器使用に関する統一見解を出したように、周辺事態法における武器等防護のための武器使用についても統一見解で例示すべき」と求めた。

 しかし、大森内閣法制局長官は「必要最小限の措置であって、武力行使にあたらない。自衛隊法95条ですでに限定されている」と述べ、小渕首相は「拡大解釈をすることはありえない」とするなど、議論はかみ合わなかった。

 また岡田議員は、自衛隊法改正案で在外邦人救出の手段として「輸送に適する船舶」が付け加えられたことについて、「自衛隊の艦船の派遣もあり得るのか」と質問。防衛庁の柳沢運用局長は「輸送艦だけではなく、護衛艦も状況によっては使いたい」と答弁した。

 これに対して、岡田議員は「必要性は理解するが、紛争地域に武装した護衛艦が赴くことで現地の緊張を高める恐れもある。相手国の同意を得るなど、抑制的措置はとれないか」と指摘したが、小渕首相は「緊急事態に混乱状況にある相手国政府が、了解を得ることは実体的には困難」と否定的だった。

 さらに、岡田議員は「邦人救出の際の事前の『準備行為』には、法的な根拠がない」として、法案の修正を求めた。野呂田長官は「緊急事態の発生後に出発するのでは適切に対処できない」と述べたが、岡田議員の指摘に対しては「法案の修正も協議したい」との姿勢を示した。

 最後に岡田議員は、周辺事態の国会承認の問題に関連し、「米軍が周辺事態にあたって活動しているときに、日本が中立的な立場を選択することはあり得ない」との小渕首相の委員会答弁について、「日本が独自の国益判断に基づいて後方支援をしない可能性を、全く排除するのは問題」と批判。

 さらに、「ユーゴの空爆のように国連決議に基づかない場合もある。安保理で拒否権が発動されても米軍が動く場合がある。その時に日本は国益、国民の命と財産を守るためにしっかり判断すべき」として、国会承認の必要性を強調した。小渕首相は「国会での議論を通じ最終的には判断していかなければならないが、現時点では原案についてご理解をいただきたい」と建前論に固執するばかりだった。

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