●政党間合意をほごにした自民党「共管」をごり押し
民主党が自民党、公明党と続けてきた財政と金融行政の分離問題についての協議は15日午前、金融危機管理と金融破たん処理制度の企画・立案業務の所管をめぐって自民党が政党間合意を守らず、決裂した。
昨年10月の金融再生法案の修正協議の際、民主党、自民党、平和(現公明)・改革の3会派は、財政と金融の完全分離と金融行政の一元化について、今通常国会終了までに必要な法整備を行い、平成12年1月1日までに施行することで合意していた。
ところが1月26日に政府が決定した「中央省庁改革関連法案大綱」に、3会派の合意内容が盛り込まれていなかったことから、民主党は予算委員会の場で自民党の約束違反を追及。改めて3会派が集まり、2月26日から合意を具体化させるための作業を進めてきた。民主党と公明・改革が、あくまでも「財政と金融の完全分離」を主張したが、自民党からなされた提案は「金融破たん処理制度と金融危機管理に関する企画立案は金融庁と財務省の共管」と、合意内容を全く無視したもので、結局協議を決裂させることになった。
実務担当者として協議に臨んでいた中野寛成政調会長は、15日昼の記者会見で「三党合意を無視するものだ。(財政金融分離は)金融危機を招いた大蔵省の裁量行政の原因を除去する最大の問題だったが、(自民党が)分離しないということだ。怒りを抑えられない」と強く批判した。また、仙谷由人筆頭副幹事長は「(自民党は)行政改革、経済構造改革などはもともとやる気がなかったということだ。日本の行政改革はいったん死んだ」と反発した。
菅直人代表も15日午後、党本部で臨時記者会見を開き、「『分離する』を『共に監督する』、『一元化する』を『二つのところで共に責任を持つ』というのは全くの矛盾」と自民党の姿勢を強く批判。「自民党総裁である小渕さんと民主党代表である私の合意を一方的に破った。総理の責任だといわざるを得ない」と述べ、予算委員会で「二枚舌」と批判した、合意時の政府の担当者である野中官房長官についても「責任はきわめて重い」と非難した。
また、財務省、金融庁両設置法案については、「自民党が合意を一方的に破ったとの認識の中で対応したい」と述べ、反対する考えを示した。
民主党は同日、羽田幹事長名で談話を発表。「大蔵省改革の核心である財政と金融の完全分離を見送り、金融行政を二元化したことにより、政府・自民党には、21世紀のグローバル化した市場経済社会に適合する行政の構造改革に真剣に取り組む意思がないことも露呈した」を指摘し、党として「政府・自民党の約束違反について厳重に抗議するとともに、その責任を厳しく追及していく」と宣言した。
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