自民・自由・公明の3会派による修正を加えて衆議院を通過した「ガイドライン関連法案」に対する質疑が10日から参議院の日米防衛協力指針特別委員会で始まった。初日の総括質疑には民主党・新緑風会の一番手として本岡昭次・参院議員会長が立った。
本岡議員はまず、菅代表を団長とする民主党訪中団に顧問として同行、中国要人と相次いで会談した印象を述べ、新ガイドラインについて(1)中国を仮想敵国とするのではないか(2)周辺事態に台湾を含むのではないか、という2つの懸念が中国側から出されたことを紹介。これらの懸念について、政府としての見解を改めて要求した。
小渕首相は「日本は専守防衛が基本で仮想敵国はもたない、と江沢民国家主席が訪日した際にも説明している」と弁明したが、周辺事態については、「地理的概念ではない」という従来の説明を繰り返した。
本岡議員は「なぜ的確に答えられないのか。あいまいなまま通そうとするから、周辺国が疑念を解消できないのではないか」と小渕首相など閣僚のごまかし答弁を厳しく批判した。
続いて本岡議員は、衆議院における修正の内容、特に政府原案にあった「船舶検査」条項を最終段階で削除した真意について厳しく追及。これに対して、政府委員の席に並んだ「自・自・公」の各衆院議員が、本岡議員の質問に対して交替で答弁に立った。
大野功統議員(自民)は「船舶検査の必要性はどの会派も認めたが、文言でまとまらなかったため削除した」と弁明。遠藤乙彦議員(公明)は「われわれとしては民主党と同様、政府原案でよいとの立場だ。日米安保であっても国連安保理の行動と非常に重なりあうから“安保理決議”を要件としたい」と主張。さらに東祥三議員(自由)が「国連下の船舶検査ならあくまで国際基準でやるべき。その場合、警告射撃や停船などの諸活動も含む」とバラバラな答弁を行い、「自自公」3会派が今国会で別途成立させるとしている「新法」に対するスタンスの違いの大きさを、改めて証明した。
本岡議員は最後に、民主党の修正案を改めて説明し「周辺事態はわが国が独自に判断。しかも憲法の謳う専守防衛に則って、対象範囲を日本周辺に限定することとしている」「この修正案で周辺国の疑念を払拭できる」と強調。
小渕首相が再三再四の答弁で、結局リーダーシップを示せなかったのに対して、本岡議員は「本当の国益とはできるだけ多くの国民の合意を得てこそ可能だ。今後国際的安保体制にもっていかなければならないのに、このような国論を二分するような審議では、いくら強行採決しても国際的信用は得られない。国民的合意のために民主党が努力しているのがどうして理解できないのか」と、国民合意の見地から民主党の修正案への柔軟な対応を政府に要求し、質問を終えた。 11日の委員会は柳田稔議員が質問する。
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