民主党が提出しているPRTR法案(特定化学物質の排出量等の公開等に関する法律案)が、政府案とともに14日開かれた衆議院商工委員会と環境委員会の連合審査会で審議された。民主党からは中山義活、小林守、石毛えい子の各議員が質問に立ち、佐藤謙一郎、近藤昭一、奥田建の各議員が民主党案提出者として答弁した。
まず、中山議員が「政府案では情報の把握が主眼となっていて、事業者と所管官庁との関わりに閉鎖的な印象を受けるが」と情報公開に関する民主党案と政府案の違いをただしたのに対し、佐藤議員は「情報公開法はあくまでも有料で請求ベース。私たちの法案は企業秘密を除き、個別データも含めたデータは請求がなくても無料で公開する。情報公開法からは一歩進んだもの」と説明した。
また中山議員が法律の対象物質の設定について「疑わしいものもできるだけ幅広く捉えたほうがいいのでは」と求めたのに対し、近藤議員は「リスクの低減が第一の目的であり、科学的知見の確立していないものでも社会的に不安のあるものは積極的に定めるべき」としたが、与謝野通産相は「危険なものについては科学的知見が出れば当然のものとして対象物質に加える」と違いを見せた。
続いて質問に立った小林議員が「知る権利、自治体の役割、対象物質の選定など、OECDの勧告をきちんと受け止めたものになっていない」と政府案を批判。佐藤議員も「私たちが対案をつくった大きなきっかけはその勧告。政府案は公開手続きをふまえていない。内容でもPRTR制度の根幹であるリスク削減の文言は見られない」と指摘した。
また小林議員が「自治体が対象物質や基準で独自の基準を定めていくことは可能か」とただしたのに対し、政府側は「小さな企業の負担能力も考え、自治体でも政令の基準を尊重してほしい」と述べたが、小林議員は「国で決めた枠組みで、先進的な地域まで押さえ込む発想は認められない」と反発した。佐藤議員は「政令がブラックボックスになって、いい趣旨の法律ができてもなし崩しになることがしばしばある。民主党案では政令案の縦覧・公告など、パブリックコメント制度を先取りしている」と述べた。
最後に質問した石毛えい子議員が、民主党案での「市町村が窓口」となるメリットを尋ねたのに対し、奥田議員は、1.中小事業者にきめ細かい説明ができる 2.データの正確性が担保できる 3.地域に適した化学物質対策を講じることができ、住民・事業者とのリスクコミュニケーションがとりやすい−−との利点をあげ、「環境問題に地域・市民の関与は欠かせない。現地現場を知っている人の対策が有用だ」と述べた。
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