参議院の日米防衛協力指針特別委は20日、ガイドライン関連法案についての一般質疑を行い、寺崎昭久、伊藤基隆両議員が追及した。
寺崎昭久議員は、最近日米両国の有識者の間に、今の日米安保体制に否定的な見解がみられるようになったことを指摘。特にブレジンスキー元米国大統領補佐官が著書の中で「日本はアメリカの保護国」と述べていることを取り上げ、「中国、朝鮮、欧州にも同様の見方が存在する。なぜこうなったのか。一面で日本に自国を守る気構えが不足し、一面アメリカに封じ込められていた部分があったと思う」と戦後日本において安全保障論議がいわゆる「憲法解釈論」に終始してきた点を批判した。
続いて寺崎議員は「後方地域支援」のうち、「戦闘活動のため発進準備中の飛行機に対する給油」が新ガイドラインの「物品・役務の提供」から除外されていることを指摘し、「戦闘活動に赴くかどうかの判断は、誰がどのように行うのか」と質問。
これに対して大森内閣法制局長官は「法案で除外されているものについての判断は差し控える」とごまかし、また佐藤防衛局長は「戦闘準備については、緊急性や秘密保持の面から日本側に知らせることは想定されない」とあいまいな答弁を繰り返した。
寺崎議員は1972年に当時の福田外相が「地上での給油は戦闘行動と非常に密接な関係がある。事前協議の対象」と答弁した事実を突き付け、矛盾をついたが、大森長官は「しかし単なる結果としての因果関係だけでは、武力と一体化しているとは言えない」などと最後まで明快な答弁を避けた。
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伊藤基隆議員は、日米防衛協力指針全般に関して質問。その中で、日本有事の際の自衛隊の「後方支援活動」に触れ、「いま周辺事態での民間役務、強制措置などが議論されているが、日本有事の際の課題でもある」として、その場合の地方公共団体や民間の活動のイメージを示すよう求めた。
これに対し、防衛庁の柳沢運用局長は「後方地域支援とは異なる場面だが、まさに緊急時の日米それぞれの対応ぶりに関わるので詳しい答弁は差し控えたい」と述べただけだった。
また伊藤議員が今年3月の朝日新聞で報じられた「1994年の朝鮮半島緊張時に在日米軍が日本側に求めた支援内容」に触れ、「平素から新ガイドラインの日米相互協力計画に基づくいくつかのケースに即した実施要項メモがあらかじめ準備されているのではないか」「後方地域支援での関係省庁、自治体、民間の協力は防衛庁主導となるのでは」と迫った。
しかし野呂田防衛庁長官は「日米間で平素から意見交換は行われているが、ご指摘の報道のような事実はない」と真っ向から否定し、「基本計画は内閣の判断と決定に従って行われるもので、防衛庁主導は当たらない」と突っぱねた。
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