●国の新たな関与条項削除、地方事務官の地方移管求める
民主党は21日、行政改革対策本部を国会内で開き、今国会に提出されている政府の地方分権一括法案に対する評価と修正を要する項目をまとめ、発表した。
この中で、法案全体に対しては「地方分権推進にとって半歩前進をもたらすものであると率直に評価」しているものの、内容については「本来求められている分権改革という趣旨からは著しく不十分なもの」と落第点を与えている。
その理由としては、(1)自治事務と法定受託事務の区分で、中央省庁の抵抗により「原則として自治事務」の考え方から著しく後退しており、法定受託義務の定義も分権推進委員会の勧告や政府の計画から大きく変更されている(2)地方自治法上、自治事務について各大臣からの是正要求と、自治体の是正改善義務が新設されるなど、国の自治体に対する関与が現行法より強化されている(3)第三者機関である国地方係争処理委員会の独立性や権限が不十分(4)国から地方への権限移譲が35法律の改正にとどまったこと、国から地方への税財源移譲や国の直轄公共事業の範囲の縮減など公共事業改革が棚上げされたこと----をあげている。
修正を要する項目としては、「新たな事務区分の下での地方自治制度に関する事項」として「法定受託事務の定義の変更」「法定受託事務に一律3年程度の期限を付す」「法定受託事務となる事務の削減」などをリストアップ。
また、政府の法案では、現在「機関委任事務」として、都道府県や市町村で社会保険行政に携わっている地方事務官を、厚生事務官として国の直接執行事務とすることとしているが、(1)地方分権の推進に逆行し、中央省庁のスリム化に逆行(2)これまで自治体窓口と社会保険事務所が連携して行ってきた事務が分離され、地域住民サービスが低下する----ことを理由に反対し、法定受託事務として地方事務官を地方移管するよう求めることとした。
さらに、自治事務への新たな関与条項の削除や、自治事務への代執行・基本類型外関与の削除の規定の明確化を求める他、都道府県や市町村におかれる「都市計画審議会」の組織・運用についての規制の削除、地方公共団体の「議員定数に係る法規定の削除」や「臨時議会招集請求要件の緩和」を、地方分権の観点からそれぞれ求めることとしている。
民主党は、これらの修正項目については、個別法改正部分も含めて十分な国会審議を行い、その進展によっては修正案提出や政党間協議での法案修正をめざしていく。
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