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1999/05/27
「盗聴法」に反対/基本的人権を侵害する法案は認められない 衆院法務委が与党のルール無視で紛糾
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捜査に通信傍受(盗聴)を取り入れる「犯罪捜査のための通信傍受に関する法律案」など組織犯罪対策3法案を審議している衆議院法務委員会は、今月中の衆院通過を狙う与党側と、「一般国民の基本的人権を侵害する盗聴法は絶対認められない」と徹底抗戦する野党側との間の緊張が高まっている。


●審議を急ぐ自自公、法務委を強行開催

 自民・自由・公明改革の3会派は、傍受を認める対象を薬物や銃器をめぐる犯罪などに限定する修正案を26日の委員会に提出した。これを受けて、27日午後2時からの理事会で自民党側が28日の採決を提案したのに対し、民主党など野党側が「一方的な委員会運営は認められない。民主党が6月1日に提出を予定している修正案といっしょに審議すべきだ」と強く反発。ところが自自公側の議員は3時過ぎ理事会を打ち切って委員会を強行開催し、民主・共産・社民の3会派が委員会を欠席したままで質疑が行われた。

 27日の午後には、衆院法務委員会の審議について、民主党の羽田幹事長と社民党の渕上幹事長が国会内で会談。(1)慎重審議を求める(2)与党側が28日に採決を強行した場合は、杉浦正健法務委員長(自民)の解任決議案を衆院本会議に両党で提出する方針で一致した。


●団体の定義を犯罪目的に限定―修正案を準備

 民主党は27日の政調審議会で、組織犯罪対策3法案について、「犯罪捜査のための通信傍受に関する法律案」(盗聴法)に反対し、「刑事訴訟法改正案」と「組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律案」(組織犯罪対策法案)には修正案を提出し、否決の場合には反対する−−との方針を了承した。

 「通信傍受法」への反対理由は、(1)憲法の「通信の秘密」や「令状主義」に抵触しており、一般国民の基本的人権を侵害する危険が極めて濃厚(2)国会審議が不十分なため、世論の不安が増大している(3)諸外国から通信傍受を導入すべきとする要請はない−−など。刑事訴訟法については、通信傍受の根拠規定を削除する。

 また組織犯罪対策法案では、政府案での「団体」の定義が犯罪を目的とした団体に限定されておらず、市民団体、労働組合、政党、宗教団体、一般企業まで含まれることが委員会質疑で明らかになったため、(1)対象とする団体を暴力団など犯罪目的組織に限定(2)対象犯罪の行為者を団体構成員に限定−−する修正を求める。

 また、同法案のもう一つの目的である「マネーロンダリングなど犯罪収益の没収」についても、(1)犯罪収益の前提となる犯罪行為を、団体の構成員が当該団体の活動として行ったものに限定(2)犯罪行為を、暴力団等が行いやすい種類の犯罪に限定−−するなど、限定的に運用する修正案を提出する。


●超党派議員の意見交換会で批判相次ぐ

 27日午後5時からは、「盗聴法」に反対する民主、社民、共産など超党派の国会議員による意見交換会が行われ、「この種の会合では異例の人数」(枝野幸男議員)の28名の国会議員と反対運動を進める市民らが集まった。

 集会では、「ルール違反の国会運営は断じて許せない」(坂上富男衆議院議員)、「盗聴法だけでなく、3法案は国民全体がターゲットにされたもの」(福岡宗也衆議院議員)、「審議を重ねる度に法案の欠点が明らかになるので与党は採決を急いでいる」(日野市朗衆議院議員)「こんな大事な問題を政争の具としてはいけない」(石毛えい子衆議院議員)などの批判が相次いだ。

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