参議院予算委員会は21日も総括質疑を行い、民主党からは江田五月、簗瀬進の両議員が質問に立った。
◆江田五月議員/米国の空爆、理解示す時期ではない
江田議員はまず、同日早朝の米国によるアフガニスタン、スーダン空爆について質問し、高村外相は「国連に対してもどの国に対しても事前報告はなかった」と答えた。小渕総理の「米国がテロに対して毅然とした態度をとったことは理解する」との答弁に対して、江田議員は「国際社会共通のテーマとしてテロをなくさなければならないのであって、どこかの国が国境を越えてやっつけに行くという問題ではない。今回の米国の行動にすぐに理解を示すのはどうか」と述べ、これを受けて総理は「今回の行動への理解を示す時期にはない」との見解を表明した。
次に江田議員は、今朝の新聞各紙で政府が日本長期信用銀行(長銀)への公的資金6千億円投入を決めたと報道されていることについて、「昨日の予算委では今井澄議員の質問に対して『承知していない』と答弁しているが」と小渕総理にただした。総理は「今般の資本注入については承知していない」と答えたが、江田議員の追及によって、昨晩、公邸で日野金融監督庁長官が長銀の合併相手となる住友信託銀行(住信)の高橋社長に長銀のリストラ計画案を説明、宮沢蔵相、野中官房長官も同席したことを明らかにした。
江田議員は支援の内容を問いただしたが、政府側は「リストラ案も政府への支援要請もまだ正式には出ていない」(宮沢蔵相)として明らかにしなかった。江田議員は「国民、マーケットの信頼を取り戻すことが必要であり、この席で総理が何を言うのか世界が注目している」として、政府側の情報隠蔽姿勢を強く批判するとともに、3月に公的資金による資本注入を行った21行の自己査定結果などを資料要求した。資料要求は理事会で協議される。
最後に江田議員は「長銀はリストラ案の中で海外取引からの撤退を挙げているが、(自己資本比率の国際基準である)8%をクリアできないのではないか」「3月に資本注入を受ける際の『経営健全化計画』にある(自己資本比率)10・32%はまったくの粉飾だったのでは」と追及したが、日野金融監督庁長官が「仮定を前提とした質問には答えられない」とはぐらかした。
◆簗瀬進議員/「国民に説明ないまま税金投入するのか」
簗瀬進議員は住信社長と政府首脳との会談について「昨晩の会談は、長銀の経営内容に懸念を抱いている住信に対して、(合併を)固めておきたいという(政府の)趣旨ではなかったのか。国民は自分たちの知らないところで、どれだけ税金が投入されるのか分からないということに不信を抱いている」として、重ねて支援の内容を明らかにするよう求めた。
日野金融監督庁長官は「破綻金融機関への支援ではなく、両行が通常の合併を行う手続きを進めていく」と答えたため、簗瀬議員は「長銀への立ち入り検査を他行に先行させたのはなぜか」と質問。金融監督庁が検査に入った7月当初、長銀の株価が額面すれすれの状況になっていたため、「長銀が危ないと判断したのではないのか」と詰め寄った。しかし、長銀の経営内容については明確な答弁はなかった。
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