国会は、20日から参議院予算委員会での総括質疑が始まり、民主党から今井澄、千葉景子の両議員が質問に立った。
まず今井議員が、日本長期信用銀行(長銀)の経営不安説が報じられ、政府が超法規的措置で公的資金を投入する報道がされていることをただしたのに対し、小渕首相は「承知していない。検査に入っている金融監督庁から中間報告の形でも報告は来ていない。報道された事実はないと理解している」と否定。今井議員がさらに「今年3月の時点で健全な銀行と見て資本注入したのか。現在も債務超過はないのか」と迫ると、日野金融監督庁長官は「3月でも、現在でも債務超過という情報はない」と述べた。
また今井議員は「景気が悪くなった原因に昨年9月の医療費負担増があったと考えるか」と宮沢蔵相に質問。「そう考えている」との答弁を受け、「かくれ借金を政府に返してもらえば、自己負担増は半年は延ばせたのでは」とさらに迫ると、蔵相は「選択の余地はあったが、あの段階ではきちんとした制度の整備をしたいという気持ちが非常に強く働いた」と述べ、堺屋経企庁長官も「昨年4月から9月の政府の発想は、短期的には景気は上昇傾向にあるが、長期的には年金や財政が危険であるという『短期楽観・長期悲観』という考えにあったようだ」と見解を述べた。
今井議員は、「国民から不信任をうけた橋本前政権の何を引き継ぎ、何を改革するのか」と質問したのに対し、首相は「財政再建に熱心に取り組むあまり、ややタイミングを逸して、種々の政策がアンタイムリーになった。世界の大きな動きの中で適切だったか、反省はある」と述べ、誤りがあったことを認めた。
●従軍慰安婦問題への取り組みただす/千葉景子議員
千葉景子議員も、まず金融問題を取り上げた。「大手19行に対する金融監督庁の検査結果を公表する決意はあるのか」と迫ったのに対し、日野長官が「個別金融機関の検査結果を開示すると、取引先に不測の損害を与えたり、金融システム全体に対する信用不安などの影響を与えるおそれもある。公表は適当でないと考える」と個別行の情報公開には否定的な答弁。首相は「個々の機関について明らかにするのは困難だが、19行全体の集計結果の公表は、検討していかなければならない」と述べた。
さらに千葉議員が、「きちんとした事実の公表のないまま、公的資金を超法規的に投入することは万が一にもあってはならない」と強く主張したのに対し、蔵相は「どのような事情であれ、超法規的な運用の考えはない」と応じた。
また千葉議員は従軍慰安婦問題に触れ、「各国の厳しい意見をどう認識しているのか」とただした。首相は「アジア女性基金に表された国民の真摯な気持ちに関係諸国の理解が得られるよう努力したい」と述べたが、千葉議員は「アジア女性基金だけでは納得されていないのが実態ではないか」とさらにただすと、高村外相は「韓国政府は日本に心からの反省を求めている。基金の償い金には消極的な意向だ。関係諸国の意向を確かめながら検討したい」と述べるにとどまった。
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