12月1日、衆参両院で、平成11年度第2次補正予算案提出に伴う宮沢蔵相の政府財政演説に対する各会派の代表質問が行われた。
1時から開かれた衆議院本会議では、民主党から海江田万里議員が登壇した。 まず海江田議員は、現在の日本経済について「渋谷や原宿で若い女性に流行の『厚底靴』経済と名付けたい」と宣言。「日本経済が多少明るい様相を呈しているのは、多額の借金を頼りに公共事業のばらまきでかさ上げされた結果。身長は決して高くなく靴を脱げば元のもくあみだ」と説明した。
また海江田議員は、介護保険問題を取り上げ、保険料徴収猶予を半年間とすることの根拠と、徴収を義務づけた同法に矛盾する疑いがある点について政府を追及。さらに、医療改革についての来年4月以降の具体的施策を明らかにするよう迫った。
だが小渕首相は、保険料据え置きについては「国民が制度に慣れるまでの一時的措置」としか答えず、医療改革についても「有識者の意見を聞いて論議を深めたい」とだけ述べるだけだった。
また、今回の補正予算について、海江田議員は「赤字国債を7兆円以上発行するというが、今年度国債発行額が税収を抜き財政破綻は明白」「内容も従来の農業土木事業の継続で景気効果は乏しい」「これほどまでに公共事業が突出した国は世界でもまれ」などと追及。
これに対し首相は、「本格的な景気回復のために必要な予算」と危機的な財政情勢への認識を示さず、また「日本は社会資本が遅れてるから」などとバラマキ予算を正当化するだけで、まともな答弁を回避した。
さらに海江田議員が年金積立金134兆円について、厚生省が自主運営で株式市場に投入しようとしている問題を取り上げ、「ただでさえ年金福祉事業団が運用に失敗して約二兆円の赤字が出ている。こんな巨額の運用でさらに赤字を出したら責任はどうするのか」と質したのに対し、丹羽厚相は「国債などにも分散して安全・効率的な運用に務める」と、ここでも建前論に終始した。
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