ニュース
ニュース
2006/05/17
【党首討論】小沢代表、首相の教育に関する認識不足を鋭く指摘


小沢一郎代表の代表就任後初めての党首討論が17日午後、衆議院で行われた。小沢代表は日本社会の現状を憂い、教育の重要性を説くとともに、鋭く小泉首相の認識不足を追及した。

衆議院厚生労働委員会での強行採決に抗議

 小沢代表は冒頭、衆議院厚生労働委員会で、医療制度改革法案が与党によって強行採決されたことに触れ、「了解できない」とした上で、論議を尽くして採決すべきであり、野党がまだ審議すべきことがあると言っている場合は採決すべきないとして、「議会制民主主義の上からも、議論すべきは十分議論するという態度に与党がなるべきだ。この国会の後1ヶ月間はこういうことを行わないよう願いたい」などとして、小泉首相の見解を求めた。

 小泉首相は、「基本的な話は同意見だ。審議が終えれば採決するのがルール。できるかぎり円滑に審議を進めたい」と答えた。これに対して小沢代表は、「(強行採決を)したばかりで賛成と言われても困る。総理がその意見なら、国会にそう指示すれば済むこと」と指摘し、議会制民主主義を軌道に乗せるよう要請した。

戦後体制と歪み 子殺し、親殺しの現象の原因は

 小沢代表は次に、日本社会で、「親殺し、子殺しなど信じられない事件が頻発している。心の荒廃、荒んだ社会に対して、われわれ野党も含めて、政治がきちんと対応しなければならない」とした上で、「責任者としてどう考えるのか」を質した。小泉首相は、「親の世代が人間としてどうあるべきかを、素直に心の中で問い直す時代だ」などと答えるだけで、日本の最高責任者としての自覚は何ら語らなかった。

 小沢代表は、こうした事件の背景として戦後体制から考えなければならないとして、戦後体制の中で「直さなければならないところ」を質した。首相は、財政、環境、社会保障制度、子どもの教育などを抽象的に挙げるにとどまり、具体的には答えなかった。

 小沢代表は、一番の問題は教育の問題だとして、「大人が目先の利益だけを考えている。目先の利益だけあればいいという、ヒューザー、ホリエモンなどが輩出する中、それで子どもが育つわけがない」と指摘した。その上で、こうしたことが教育基本法の改正につながったとし、「教育の責任はどこにあるのか」と質した。首相は、行政の責任者としての責任は全く感じさせず、「親にあると思う。親が子を可愛がらないで子が育つのか」などと答えた。小沢代表は、その答えは家庭教育、社会教育の話だとして、学校教育の責任を改めて質した。

教育の責任はどこに

 小泉首相は、「文部省、教育委員会もあるが、教師。子どもと信頼関係つくることが大事」とし、習熟度教育が必要ではないか、とここでも自らの責任者として自覚のない答弁に終始した。

 小沢代表はこれに対して、「制度論を聞いている。戦後体制そのものの問題だと思う。教育の根本問題だ」として、現行法では教育の責任は各教育委員会にあり、文部科学省は指導と助言にとどまることを指摘。その上で、教育基本法改正の政府・与党案では、この点がどうなっているのかを質した。

 小泉首相はこれにもまともに答えず、「与野党で議論を進めていただきたいと思う」とした。

 小沢代表は、民主党の日本国教育基本法案(新法)では、国に責任がもつことになっているとした上で、政府案には「歪んだ教育行政の是正という視点がない」と批判した。また、「もう一度、与党案を開いて、本当に今の教育、子どもたち、人づくりができるのか、もう一度考えてもらいたい」として討論を終えた。
記事を印刷する