トップ > ニュース
ニュース
ニュース
1998/08/31
衆院・金融安定化特別委に長銀頭取ら参考人出席、3議員が質問
記事を印刷する

 長銀の大野木克信頭取、長銀が債権放棄を表明している系列ノンバンクの日本リース・岡本弘昭社長(元長銀常務)、日本ランディック・木村栄二郎社長(元長銀専務)、エヌ・イー・ディー・中島省吾社長(元長銀専務)が31日の衆院金融安定化特別委員会に参考人として出席した。民主党からは上田清司、海江田万里、仙谷由人各議員が質問に立った。

●上田議員/「株主配当した分、国民に返せ」

 預金保険機構が3月に買い取った1766億円の長銀の優先株などについて、上田清司議員は「政府というよりも国民に1%配当する約束たが、その約束は反故にされるのか」と質問。大野木長銀頭取は「申し訳ないが、今回のリストラ策の結果として無配にさせていただきたい」と述べた。

 上田議員は「長銀は3月期に任意積立金を取り崩してまで一般株主に配当している。取り崩した分、公的資金を減らしてほしい、あるいは不良債権処理に使ってほしい」と国民の声を代弁したが、大野木頭取は「3月には安定配当が長期的には良いと考えた」と言い訳に終始した。

 上田議員は「長銀は日本リースから昨年、211億円回収している。このまま回収を続ければいいではないか」と迫った。大野木頭取が「日本リースの再建のためには債権放棄が必要。日本リースが駄目になった場合の大きな混乱と比べると仕方のないこと」と開き直ったため、上田議員は「それは無茶苦茶な議論だ。もう回収なんて面倒だからどんどん債権放棄して公的支援を受けようという話になる」と、銀行のモラル・ハザード(道徳的危機)を批判した。

●海江田議員/日本リースが不良債権開示約束

 海江田万里議員は「日本リースからの貸出金が多い上位数社をこの目で見てきたが、幽霊ビルのような所だった。ペーパーカンパニーに、なぜ多額の貸付をしたのか」と質問。日本リースの岡本社長は「91年から債権保全のため代物弁済を受け、管理をはっきりするため別会社にした」と答えたが、海江田議員は「私たちは債権保全ではなく、債権の飛ばしと認識している」と指摘した。

 さらに日本リースの有価証券報告書に基づいて「固定化営業債権が3416億円とされている。リース会社の貸付は相手が倒産するとほとんど担保価値がなくなるので、これを計算すると債務超過ということになる」と追及。岡本社長は「すべてが倒産ではない。不動産も担保に入っている」と述べたので、海江田議員は「不良債権はいくらか」と質問。

 これに対して岡本社長が「(固定化営業債権の)3500億円」と答えたため、海江田議員は「日本リースが長銀に提出した経営改善計画によると不良債権は6千億円と書いてある」として、不良債権処理のずさんさを指摘。岡本社長は金額の違いに関して後日、資料を提出すると約束した。

●仙谷議員/バブル期の貸付、退職金の実態追及

 仙谷由人議員は桃源社に対して長銀から105億円、エヌ・イー・ディーから200億円の貸付があったこと、イ・アイ・イにも長銀からの1600億円の債権が残っていることなどを示し、「どういう分類(債権)か、引き当てはどのくらいしているのか」と質問。大野木頭取が「引き当てはしている。金額などは個別の会社なので勘弁してほしい」と答えたため、仙谷議員は「もう倒産して刑事事件にまでなっている会社だ」と情報開示を要求した。

 また、それぞれが長銀を退職したときの退職金額について木村日本ランディック社長は「行員を退職したときの額はおそらく2000万円台。役員を退職したときの額は7000万円台」と、中島エヌ・イー・ディー社長は「従業員を退職したときは2000万円、役員は約1億円」と答えた。

 仙谷議員はランディックとエヌ・イー・ディーの債権整理・清算計画に関わる質問事項について、後日文書で回答するよう求め、約束を得た。

記事を印刷する
▲このページのトップへ
Copyright(C)2024 The Democratic Party of Japan. All Rights reserved.