菅直人代表は4日の衆議院本会議で、平和・改革、自由党と共同提案した「金融機能再生緊急措置法案」など金融再生4法案の趣旨説明に立った。
●「野党案は金融危機を管理できる」
菅代表は「バブル崩壊後7年余りを経過しても不良債権問題は一向に解決せず、日本経済はますます泥沼に沈んでいく」と危機感を表明し、政府の金融安定化策について「3月に『優良銀行に限る』として1兆8千億円余の公的資金を投入したが、わずか半年足らずで(公的資金で買い取った銀行株や劣後債に)7千億円以上の含み損が発生した」と指摘。
3月の公的資金投入を決めた金融危機管理審査委員会について「佐々波委員長の国会答弁で明らかなように、大蔵省と日銀の検査・考査を鵜呑みにして、わずか90分の審議で1兆8千億円の資本注入を認めた」と批判。「こうしたいい加減な審査機関を隠れみのに、バブル紳士やゼネコンの借金は棒引きにして、国民に負担を転嫁しようというのが政府・自民党の金融再生6法案であり、国民に対する背信行為に他ならない」と断じた。
「『破綻前処理』という新しい言葉をひねり出し、長銀の合併支援に無限に税金を注入しようという『場当たり・その場しのぎ・ノールール』の政府・自民党の不良債権処理、『隠蔽・先送り』の大蔵省行政」と批判し、「政府の金融安定化策は相変わらずの護送船団方式で、わが国金融業界のグランドデザインをどう描くかといった視点はまったくない」と、野党の法案と対比させた。
菅代表は「21世紀の金融業界のグランドデザインを描きつつ、金融危機を管理できる体制、金融機関の破綻処理の枠組みを整備する必要がある」として、野党案について「13兆円の資本注入の枠組みを定めた現行の金融安定化緊急措置法をきっぱりと廃止し、情報開示など金融再生委員会が定める透明なルールの下で金融機関の経営改革を推進し、『管理された形で金融機関の破綻処理を行う枠組み』を整備しようというもの」と説明した。
最後に菅代表は「情報開示をしないなど、基本的な考え方が間違っている政府・自民党案ではどんなに修正しても金融再生の道筋は描けない」として、「政府案を取り下げてでも法案修正の協議を呼びかけるというのであれば、積極的に応じていきたい」と、自民党に「大胆かつ建設的な妥協」を呼びかけた。また、「国民に負担をお願いするのであれば、まず自らが誤った政策を続けてきた政治責任を明らかにせよ」と小渕内閣の早期退陣を求めた。
●伊藤政調会長が各党質問に答弁
つづいて自民党、共産党、社民党からの代表質問が行われた。
民主党の伊藤英成政調会長は自民党の質問に対して「『破綻前処理』とは『管理された破綻処理』であると考える。『破綻前対策』と言うなら、早期是正措置の拡充などで事足りるだろう」などと答弁し、不正確な認識に基づく批判を牽制した。
共産党から「野党案では金融安定化緊急措置法を廃止するとしているが、これによって長銀への公的資金投入はできなくなるのか」との質問があり、「そのとおりだ」と答えた。
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