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1998/09/18
野党法案軸に共同修正/金融再生法案成立へ党首会談で合意
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●長銀救済に税使わない、財金分離は次国会までに

 菅直人代表は18日、首相官邸で小渕総理と党首会談を行い、今国会最大の焦点である金融再生法案について、野党3会派提出の法案を軸に共同修正し、成立させることで合意した。長銀救済のために公的資金を投入しないこと、財政と金融の分離(財金分離)については次期通常国会で法整備することの2点も確認された。

 衆院金融安定化特別委員会理事を中心とした実務者協議では、17日までに「金融危機管理対策の概要」(全文別記)で合意が得られたが、財金分離について自民党側の明確な回答がなかったため、深夜から18日早朝にかけて断続的に与野党国対委員長会談などが行われた。18日午後、野党3党の党首会談、与野党国対委員長会談を経て、民主、平和、自由、社民各党の党首がそれぞれ小渕総理との党首会談に臨んだ。

 午後5時から行われた会談で、菅代表は「与野党の実務者間で相当程度詰められた。残された問題は長銀問題と財金分離であると理解している」と切り出し、確認事項を示したうえで、

(1)長銀問題については、実務者協議で合意した事項(別記「概要」)に沿って、特別公的管理等で対処する。
(2)金融再生委員会の設置に伴う財政と金融の完全分離及び金融行政の一元化は、次期通常国会終了までに必要な法整備を行う。
――の2点を確認した。

 さらに菅代表は「長銀処理の中で子会社に対する債権を放棄することは国民の理解が得られない。(不良債権は)日本版RTC(整理回収機構)に移して悪質な借り手は最後まで追いかけるべきだ」と強調。小渕総理は「おっしゃることは分かる」と答えた。

 会談を終え、記者会見した菅代表は「野党3党の法案をほぼ全面的に政府・自民党が受け入れ、部分的につけ加えて修正するということは明らかだ。この難しい金融問題について、野党案が実行に移されるということは画期的なできごと」と語った。

 長銀問題の確認事項で「特別公的管理等」としたことについては、「野党案を基礎とした修正事項について合意したので、修正事項に入っていないものは野党案がそのまま残る」と述べ、野党案には現行の金融安定化特別措置法廃止が盛り込まれているため、政府が長銀救済に使おうとしていた13兆円の公的資金枠がなくなるという点を指摘。「13兆円の(枠を使った)公的資金の投入による救済はないと総理から確認をとった」と強調した。

 財金分離については、野党側は実務者協議で「平成11年1月1日までに実現」といった実施期限の明確化を要求していたが、党首間の合意で「次期通常国会終了までに法整備」とされた。小渕総理ら自民党側が「予算措置があるので、期限を区切ることには責任が持てない」としたためだが、菅代表は「これから野党案の共同修正に入っていく中で、金融再生委員会をいつ立ち上げるかが問題となる。野党法案の実施段階でディスクロージャー(情報開示)が厳しく行われ、しかも誤ったディスクロージャーに対する罰則も厳しくなるので、それに対応する必要を強調した」と述べ、法整備の期限を区切ったことで実施も早急に行われる仕組みになっていることを解説した。
 党首会談が各党個別に行われたことについては、「複数の政党だと、どうしても(合意案を)持ち帰って検討ということになり、党首会談になじまない。フレキシブルな対応をとったことが、この事態を打開する知恵だった」と述べた。

【金融危機管理対策の概要】

T 野党3党提案の4法案を基礎に、以下の点及び、これに関連する技術的部分について4法案の共同修正を行う。

◆金融再生法案の修正について

1.金融機関の申し出によって、特別公的管理等の開始を行える旨の規定を、雑則ではなく、本則中に規定する。

2.本法案成立後速やかに金融再生委員会を設置する事とするが、金融再生委員会設置までの間は、金融再生委員会の権限を、総理大臣もしくは閣議決定が代行できる旨、経過措置を設ける。

3.破綻認定等に関する裁判所の認可は削除する。

4.金融整理管財人が入った金融機関について、公的ブリッジバンクへ移行できるスキームを加える。


◆預金保険法改正案の修正について

1.住宅金融債権管理機構と整理回収銀行を一体とした株式会社組織として、整理回収機構(日本版RTC)を創設する。その際、住管機構が整理回収銀行を吸収合併する。また整理回収機構に共同債権買取機構(CCPC)の追加合併を検討する。

2.整理回収機構は時価による不良債権の買い取り、債権の回収・売却等を行い、存続期間中に投入される公的資金の総額を結果として最小化する努力をしなければならない。尚、整理回収機構による不良債権の買い取りは2001年3月末までに限る。

3.公的管理に入った金融機関等から不良債権の買い取りと回収受託を可能とする。

4.一般の金融機関からの不良債権の買い取りと回収受託を可能とする。

★預金者保護に関する17兆円スキームは維持される。


U 金融機関の過少資本状態の解消等、金融システムの早期健全化スキームを、早急に検討する。

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