訪米から帰国した小渕総理の帰朝報告が、24日の衆議院本会議で行われた。民主党からは鳩山由紀夫幹事長代理が代表質問に立ち、長銀の整理や財金分離について、改めて見解を明らかにするよう迫った。
鳩山議員はまず、3時間の日米首脳会談の内容の乏しさを指摘し、「党首会談で長銀問題は『特別公的管理等』で対処すると確認したにもかかわらず、『等』をめぐって銀行業界と『不適切な関係』にある自民党の一部幹部による確信犯的な歪曲があった」と批判。民主党の考えとして「長銀に金融機能安定化法に基づく公的資金の投入はすべきではないし、長銀に日本リースなど関連会社の債権放棄をさせるべきでもない。特別公的管理によって整理すべき」と改めて明言したうえで、総理の見解を求めた。
小渕総理は「長銀問題については与野党合意でこれに適用できる公的管理の枠組みを新法で制定するとしている。新法が適用されることを望む」と答弁したが、「住信との合併構想がわが国金融システムの安定に資することを期待している」とも付け加え、長銀の救済に未練をのぞかせた。しかし、各党実務者は金融機能安定化法を廃止する野党案を軸に修正協議を行っており、「債権放棄によって自己資本が過少になる長銀に、13兆円の公的資金枠から資本注入する」という当初の政府方針は実施できない。
また、やはり党首会談で合意した財金分離と金融行政の一元化について、鳩山議員は「与党幹部から『金融危機管理・破綻処理部門は大蔵省に残す』といった発言があった」として総理の説明を求めた。小渕総理は「(2001年から2003年までに省庁再編するとしている)金融庁の設置を前倒しする」と答え、18日の「次期通常国会終了までに法整備する」とした合意内容から後退した。
鳩山議員はクリントン大統領、サマーズ財務副長官が公的資金の投入は不可欠だとの認識を示しながら、安直な銀行救済にならないようにするべきだと発言したことについて「決して公的資金による銀行救済を認めるものではないと考える」と述べ、最後に「私はかねてから金融問題を政争の具にすべきではないと言ってきたが、党首間合意、政党間の信義が裏切られるなら、好むと好まざるとにかかわらず政局に影響を与える事態になる」と苦言を呈した。
鳩山議員は安全保障問題についても質問し、「弾道ミサイル防衛構想は予算問題、技術的信頼性、外交・軍事関係への影響など課題が山積しているのに、国会議論もなく日米安全保障協議委員会で共同技術研究を合意したのは早計」と批判。小渕総理は「共同技術研究の着手を決定したわけではなく、必要な予算措置など防衛庁の作業を見守る」と答弁した。
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