トップ > ニュース
ニュース
ニュース
1999/11/10
介護保険/衆院厚生委で集中審議
記事を印刷する

衆議院厚生委員会で10日、介護保険制度に関する集中審議が行われ、民主党から4議員が質疑に立ち、政府与党の姿勢を追及した。

 「政府案のさらなる見直しはあるのか」――最初に質問に立った民主党ネクストキャビネットの山本孝史・厚生担当副大臣は、3党合意の有効性について質した。「総理が判断した最終案で変更はない」と言い切る丹羽厚相に対し、自由党の小池百合子経済企画庁事務次官、公明党の大野百合子厚生政務次官はそろって「自分は政府の一員で答える立場にない」と逃れるばかりで、曖昧な対応に終始した。

 また山本議員は、参考人として、地方自治体などの関係者と、家族介護についての議論を深めるため亀井静香・自民党政調会長を呼ぶよう要求。「介護・年金・医療をセットにしなければ社会保障の全体像は見えてこない。介護が片付かないと年金に審議入りはできない」と、参考人招致の早期実現を迫った。

 休憩後、2番手で質問に立った五島正規議員は、「健保や国保の財政状況の違いは、介護保険制度により生じたものでなく、医療保険下における財政状況の違いにより生じたものである」とし、「保険医療の抜本改革なしに、保険財政の悪化した保険者に国費を投入するのは、給付と負担の関係が不明確になり、保険者機能を弱めるのではないか」と早期の医療保険の抜本改革を迫った。これに対し、丹羽厚相は「審議会での作業日程も遅れており、医療保険制度の抜本改革は来年4月の介護保険制度スタート時までにできるかどうかわからない」と答弁。政府の怠慢が明らかになった。

 クエスチョンタイムをはさんで再開後、質問に立った中川正春議員は市町村の対応について、「市町村によっては、徴収をするところもあると思う。その場合交付金は支払われるのか」と、基金に積立てて将来の保険料軽減に使う等の市町村の対応の可能性について質した。

 丹羽厚生大臣は、「そうした場合、交付金は支払えない。保険料の徴収は自治体独自の判断に任せるが、交付金の趣旨は保険料の免除・軽減のためである」とし、ペナルティではないが混乱を招くだけであると、「地方分権の趣旨から交付金の使徒は市町村に任せたら」という中川議員の意見を否定した。

 最後に質問にたった石毛えい子議員は、「家族介護の支援のあり方の議論はどういう想定でいつ結論を出すのか」と追及。

 丹羽厚相は「亀井氏は『現金給付を法の中で』と主張していたが、さまざまな議論を経て法の枠外としての政府案となった。幅広い議論をし平成13年末までを目途に決めたい」と答弁。これに対し石毛委員は「枠外というが、動き始めれば社会的な介護サービスがバックボーンに影響を及ぼす」と指摘し、亀井議員を参考人として呼ぶよう重ねて要求した。

 さらに、石毛議員は慰労金支給に際し、「介護度4、5相当の場合で、認定することがあり得るのなら、制度の目的外使用であり、プライバシーの侵害につながる」と指摘。これに対し大野政務次官は「4・5の人は認定されたという意味でない。市町村判断だ。認定と支給はイコールではない」と苦しい答弁を繰り返した。

 最後に石毛議員は、「入所施設が圧倒的に多い現状の中で、美風という空疎な議論があるが、安心できるサービスの質と量をどう充実させていくのかという議論にこそ、政府のリーダーシップを発揮すべき」と提言し、質問を終えた。

記事を印刷する
▲このページのトップへ
Copyright(C)2024 The Democratic Party of Japan. All Rights reserved.