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1998/10/06
民主党の「金融健全化対策」発表/不良債権完全処理なくして貸し渋り改善なし
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 民主党緊急金融・経済対策本部は5日、「金融健全化対策」(概要・骨子)をまとめた。

 同対策は前文で「バブル崩壊後、多くの金融機関は不良債権処理を怠って銀行法上の義務である健全性を損ない、その事実を隠すことに汲々として貸し渋りに走っている」と、銀行の姿勢を批判。「行政側も場当たり的弥縫(びほう)策を繰り返すのみで抜本的対策をとらないできた」と政府の責任も指摘している。

 民主党の立場としては「透明性の確保によって市場の信頼を回復すると同時に、不良債権処理と資本増強を進め、金融機関経営の健全性を回復することは喫緊の課題である」として、情報公開を前提に健全化対策をまとめたことを表明している。今年3月、情報開示も経営責任の明確化もないまま、金融機能安定化法による13兆円の公的資金枠から1・8兆円の資本注入が行われた結果、金融機関のモラルハザードが蔓延し、貸し渋りも経営も一向に改善しなかったからである。

 民主党の金融健全化対策は「経営実態の正確なディスクロージャー(情報公開)」と「早期是正措置の強化と公的資本注入」との2つの観点から法整備を提案している。

 「経営実態の正確なディスクロージャー」としては、

1. 公的資金注入を受ける金融機関には、保有している有価証券の評価方法に低価法(取得価格と時価のどちらか低い方で評価)を義務づける

2. 十分な引当ての義務づけ(第II分類債権に15%、第III分類債権に75%)

3. 監査法人によるチェック機能強化


――を提唱している。

「早期是正措置の強化と公的資本注入」については、金融機関が不良債権処理を断行し、その結果、過少資本に陥った場合、まず現行の早期是正措置に沿って金融再生委員会が資本増強命令を出す。自助努力による資本増強が不可能な場合は一定の要件のもとに公的資本注入ができる。公的資本注入に際しては役員の更迭、金融再生委による新経営陣の承認、減資等による株主責任の明確化などを義務づける。

 自己資本比率が2%(国際業務を行わない銀行は1%、カッコ内以下同じ)を切るなど、存続可能性のない銀行は、現在、参議院で審議中の金融再生法案に基づき、特別公的管理、清算、ブリッジバンクへの移行のいずれかの方法で破綻処理を行う。

 公的資金注入は地域経済や国際金融に重大な影響を与える場合に限り、

1. 自己資本比率が2(1)%以上4(2)%未満など、「著しい過少資本状態」にある金融機関が申請するときは金融再生委の判断で、または金融再生委の命令で

2. 自己資本比率が4(2)%以上8(4)%未満など、「過少資本状態にある」金融機関が申請するとき――、
資本注入を可能とする。



 自己資本比率8(4)%以上の銀行については、破綻金融機関の受け皿銀行となるとき以外、公的資本注入は行わないとしている。

 この民主党案は6日、伊藤英成政調会長が与野党実務者による早期健全化スキーム協議の場で自民党側に正式に提示した。

関連URL
  「金融健全化対策」の骨子
 http://www.dpj.or.jp/news/?num=11504
  「金融健全化対策」の概要
 http://www.dpj.or.jp/news/?num=11503
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