民主党の岡田克也議員は8日の衆議院本会議で、自民党が前日提出した「金融機能の早期健全化のための緊急措置法案」について、代表質問した。
岡田議員は「与野党の共同修正を経て参議院で審議中の金融再生法案では、今年2月に成立した『金融機能安定化法』を廃止するとしている。同法に基づく資本注入が失敗したからだが、今回の早期健全化法案は同じ誤りを見事に繰り返そうとしている」と指摘。「自民党の一貫性のなさ、混乱ぶりには驚くばかりだ」と批判した。
この法案の問題点として「最終的には税金により担保された公的資本注入にあたって基本的事項は明確に規定するべきなのに、資本注入を受ける『過少資本行』『著しい過少資本行』の定義、注入を受ける金融機関の範囲(自己資本比率の上限など)、自己資本比率の算定方法(有価証券の評価を低価法とするのか、など)が不透明な政令や規則にゆだねられ、裁量行政の余地を大きく残している」と指摘。
これに対して、法案提出者の自民党の保岡議員は「金融再生委の規則で定めるが、『過少資本行』は自己資本比率4%以上8%未満、『著しい過少資本行』は0%から4%未満を念頭に置いている」と答え、事実上、債務超過でない限りすべての銀行に資本注入できることを示した。
岡田議員は「『経営の健全性確保が困難な金融機関は存続させない』とした金融再生法案第2条に反する」と批判した。保岡議員は「地域経済に不可欠な銀行の場合など再生法案に反するものではない」と、破綻処理と銀行救済を混同した答弁を行った。
また、公的資本注入を受ける金融機関の経営責任について、自民党の山本議員は「経営健全化計画の提出が義務づけられる」と答弁したが、健全化計画に盛り込むべき具体的内容に触れず、行政と銀行の談合によって長銀のようなずさんな経営と破綻が繰り返される恐れがあることを露呈した。
岡田議員は「そもそもわが国の金融システムに対する信頼が失われた最大の原因は、不良債権の実態や自己資本比率について正しい情報が開示されてこなかったことだ。609億円と公表されていた兵庫銀行の回収不能債権は、実際は13倍の7900億円だった」と述べ、民主党の金融機関健全化対策では第二分類(要注意)債権に15%の引き当て、保有株式を低価法で計算することによって不足する自己資本額に公的資金を注入するとしていることなどを説明。「自民党の早期健全化法では不完全な情報公開に基づく資本注入で、仮に目の前の金融危機を乗り切ったとしても(決算期の)来年3月末には再び大混乱を招く」と問題先送りに危機感を表明した。
政府側は「緊急措置を設けることで金融機能が健全化される」(小渕総理)、「岡田議員の主張は理論的には明快だが中長期的課題」(宮沢蔵相)と、まったく切迫感のない答弁に終始した。
他の野党も「本法案は廃止しようとしている金融機能安定化法とどこが違うのか」(平和・西川議員)、「本法案は護送船団方式から一歩も出ていない」(自由党・谷口議員)など、批判した。
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