参議院の金融問題・経済活性化特別委員会は9日、金融再生法案を可決採決した。
採決に先立ち、特別委では経済活性化に関する集中審議が行われ、民主党・新緑風会からは斉藤つよし、簗瀬進両議員が質問に立った。金融再生法案の締め括り総括質疑には峰崎直樹議員が立った。
●斉藤つよし議員/地方分権は財源を伴うべき
斉藤つよし議員は地方財政の危機を取り上げ、「総理は6兆円を上回る恒久的減税を表明しているが、地方が『減税は国税でやるべき』としているのに対して、大蔵省が『地方税でやるべき』との答弁をしている」として宮沢蔵相の見解をただした。蔵相は「地方が財政的に逼迫している今、恒久減税を国と地方でどう受け持つか、自治相と私が相談しなければならない」と述べた。斉藤議員は「地方分権は財源を伴わなければならない」と主張した。
●簗瀬進議員/自民は政治献金のため銀行救済?
簗瀬進議員は「ものごとを玉虫色に進めようという政治文化を超え、今回、与野党の若手実務者が与野党間の信頼関係を醸成し、党派を超えて日本のために頑張った」と評価し、一方「新しい歴史を作るパワーが自民党の中でつぶされている」と批判した。
また、「自民党は大手8行からの100億円の借金を同じ銀行界からの政治献金で穴埋めしているから、銀行救済に動いていると見られる」と批判した。
●池田元久法案提出者/早期健全化法は修正を
法案提出者として簗瀬議員への答弁に立った池田元久衆議院議員は、自民党が提出した金融機能早期健全化法案について「金融機関の厳格な資産査定を前提とした大幅な修正が必要」との見解を示した。
池田議員は「誤解されがちだが、わが党は金融機関の劇的な情報開示の結果、過少資本となった金融機関については資金投入が必要と考えている」として、「金融再生勘定、金融健全化勘定、預金者保護の17兆円枠と合わせ、約47兆円の資金枠を用意する必要があると思う」と述べた。
民主党案では不良債権を処理した後の銀行に公的資金を投入するため、健全化された銀行から投入した資金は返ってくるとの立場だ。
●峰崎直樹議員/3月資本注入の失敗繰り返すな
峰崎直樹議員は「金融機能安定化法による3月の資本注入で長銀も優良行として注入を受けたが、これが失敗だったという認識でこの法案を作ったはず。この考え方は金融機能早期健全化法案にも受け継がれるべきだ」と主張した。
これに答え、民主党の枝野幸男衆議院議員(法案提出者)は「自己資本がどれくらい痛んでいるのか把握せずに資金注入すれば、必要以上に税金が使われたり、せっかく注入した資本が劣化する」と指摘。
峰崎議員は採決前の賛成討論も行い、「与野党実務者の努力は、わが国の金融安定化に向けた明確なメッセージを世界に発した」と評価した。
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