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2004/06/28
イラクでの主権移譲にあたって(談話)
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民主党政策調査会長 兼 イラク多国籍軍参加問題対策本部副本部長
仙谷 由人

本日、イラクの主権が急遽、暫定統治機構(CPA)から暫定政権に移譲された。フセイン政権の圧制、さらに昨年3月に始まった戦争と占領という長い苦しみを経て、ようやく主権がイラク国民に返されることは、喜ばしい。今後、イラクの主権移譲が、名実ともに実現されるかどうかが、イラクの安定と復興に極めて重要であり、小泉総理は国際社会と連携を強めて、来年1月までに予定されている選挙が公正かつ障害なく実施されるよう支援していくべきである。

 今回、イラク情勢が騒然とする中、主権移譲が前倒しで実施された背景を見ても、大義なきイラク戦争に始まる米英の占領行政が、新イラク暫定政権に負の遺産を残したことは明らかである。暫定政府の人選が米英政府の意向を反映したことにより、イラク暫定政府高官を狙ったテロ攻撃がすでに相次いで起きていることも暫定政府の基盤の脆弱性を示している。米英占領軍の武力による過激派の掃討・抑圧が、さらなる憎悪と報復の連鎖を生む傾向にあることなど、米英のイラク政策に問題が多いことを小泉総理は認識すべきだ。

 また、昨年11月の日本人外交官殺害事件にはじまり、人質事件やジャーナリストの殺害事件など、米英占領国への協力者と見られることにより、日本人も攻撃の対象となりつつあることに対して、政府の問題認識は余りにも低い。「非戦闘地域」がイラクのどこにも存在しないことも明白である。そもそも小泉総理は、イラクの復興支援が議論され始めたときから、「自衛隊派遣ありき」であり、今回の多国籍軍への自衛隊参加についても、憲法上の問題点等を国会で審議する前にブッシュ米大統領に事実上約束したその姿勢を断じて容認することは出来ない。

 民主党は、被災したイラク国民に対し、国際社会も出来るだけの支援を行っていくべきとの立場から、昨年6月はじめ、日本の政党でいち早くイラクに調査団を派遣し、イラク人警察養成への支援、例えば、「交番」システムの紹介及び警官のガイダンスや、教育・医療支援などわが国にふさわしい支援策を提言してきた。民主党は、混迷を極めるイラクで、危険を覚悟して人道・復興支援に懸命に従事している民間を含む各国の人々、とりわけわが国自衛官たちの安全を願うと同時に、主権移譲にあたり真のイラク復興支援という視点に立ちかえって自衛隊を撤退させた上で、日本の関与のあり方を検討し直すことを政府に強く求める。

以上

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