16日の衆議院本会議で、政府提出の原子力災害対策特別措置法案が審議入りし、民主党から原子力問題の第一人者で、長年防災対策の必要性を主張してきた辻一彦議員が代表質問に立った。
辻議員は冒頭、H2ロケットの打ち上げ失敗に言及。小渕首相は宇宙開発体制の立て直しに向け抜本的な対策を講じたいと述べた。
本題に入り、辻議員は「今日の原子力が電力の3分の1を占めることを肯定し、原子力をいかすには安全性を最優先し、万一に備えた原子力防災対策の確立が不可欠」と述べ、今回の東海村の臨界事故について「事業者の第一義的責任が追及されるのは当然。しかし、これを長年にわたり見過ごしてきた国の責任はどうなのか。ほとんど検査らしい検査、点検もしていない」と科学技術庁の責任を厳しくただした。
その上で、ここ数年の原子力事故が安全上最重視される一次系ではなく、2次系や周辺部に起きていることを指摘し、「安全審査体制の見直し」や、実際に運用する保安規定の遵守や現場の教育指導などを監督官庁がきちんと検査点検しているかどうかを追及。アメリカやフランスなどの原子力先進国のように、原子力政策の推進部門と規制部門を明確に分離し、現在の原子力安全委員会を国会行政組織法上の三条委員会に改組し、独立した権限を与えるよう主張した。
辻議員はさらに、政府の法案提出は一つの前進と評価しながら、長年の辻議員の主張に関わらず、これまで極めて消極的だったことを非難。今回民主党がまとめた原子力防災大綱を元に、都道府県の役割の明確化や、現地対策本部の初期対応の規準作り、安全運転専門官とは別に防災専門官を専属配置すること、放射線量をリアルタイムで公表することなどを求めた。
政府側の答弁はいずれも東海村の重大事故をふまえての低姿勢に終始したが、内容においては政府案の領域から踏み出す部分は見られなかった。
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