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1998/12/02
「男女共同参画基本法」立法へ/党プロジェクトチームが「中間報告」
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 民主党政策調査会の男女共同参画プロジェクトチーム(松本惟子座長)は1日の政調審議会に「男女共同参画基本法」の立法化、他野党との連携調整に着手する方針を提起し、了承された。政府が総理府男女共同参画審議会答申を受けて次期通常国会に基本法案を提出すると表明している流れに対して、民主党の法案を準備し、基本法の内容をより充実させようとするもの。

 松本座長と伊藤英成政調会長は2日、プロジェクトチーム(PT)の「男女共同参画社会実現にむけての基本法の検討について――中間報告」を記者発表した。PTでは夏から8回の会合を重ね、行政、国際人権団体、学識者などの立場からヒアリングを実施。PTとしての男女共同参画基本法についての考え方をまとめた。PTの中間報告と総理府男女共同参画審議会答申との主な相違点は、法の基本理念に「社会的・文化的に形成された性差(ジェンダー)からの解放」を明記したことなど15点。

 PT報告では法律の名称を「男女共同参画基本法」とし、前文に(1)男女が均等な政治的、経済的、社会的および文化的利益を享受することができ、かつ、ともに責任を担うべき社会が実現されなければならない(2)わが国において男女平等は憲法、各種法律や制度の中に位置づけられているが、依然、性別による偏りが多く、職場・地域・家庭における男女の参画には大きな格差がある(3)少子高齢化、経済の成熟化・国際化、情報化など大きな変革期に対応し、新たな価値の創造による真の男女平等社会を築くためには、男女共同参画社会の実現は不可欠――と述べ、「男女共同参画社会実現のための諸施策を総合的に推進していくため、この法律を制定する」と明言している。
 また、「基本理念」の第一には「人権の確立」を掲げ、「女性に対する差別や暴力が根絶され、女性が社会のあらゆる分野で自立し、自らの存在に誇りをもつことができると同時に、一人の人間として敬意が払われる社会の形成」を唱っている。

 基本理念の第二には「ジェンダーからの解放」を挙げ、第三には「阻害する要因の除去」として、「直接的な差別はもとより、結果として性別による偏りにつながっている『間接差別』もなくさなければならない」などの点を規定。

 第四の「政策・方針決定過程への参画」では「公的・私的分野を問わず計画的に女性の参画促進措置を講じなければならない。そのため、積極的参画促進措置(ポジティブアクション)を積極的に活用する」とした。

 また、第五「家族的責任をもつ男女への支援」、第六「国際的に確立された理念の尊重と国際協力の積極的推進」を挙げ、女性差別撤廃条約の遵守、ILO条約の批准などを促している。

 総理府審議会答申には欠落し、PT報告では強調している点はこの他、「国の責務」として既存の法律などの修正・廃止、影響評価、政策評価を、また、「地方公共団体の責務」として基本条例の制定を明記した点、「意識の浸透」にジェンダーに敏感な平等観形成のため、男女平等教育の充実を明記した点などである。

 記者会見した松本座長は「この中間報告について地方の意見も集約し、より良い基本法にしていきたい」と語った。

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