平成10年度第3次補正予算案提出を受け、国会は4日、衆参両院で本会議を開き、宮沢蔵相の財政演説、各党からの質問を行った。民主党からは玉置一弥衆院議員、直嶋正行参院議員が質問に立った。
●玉置一弥衆院議員/「子ども手当」の正当性示す
衆議院本会議では玉置一弥議員が代表質問に立った。
玉置議員は「民主党は所得税減税と同時に、所得税の扶養控除の見直しとセットで児童手当を抜本的に拡充した『子ども手当』創設、基礎年金国庫負担率2分の1への引き上げによる保険料引き下げを提案している」と説明し、「自民党内の有志議員も民主党の主張に共鳴してか、育児休業給付の引き上げや児童手当の対象年齢拡充に取り組む考えをまとめた」と指摘。「将来不安解消のビジョンを示すことが極めて重要」として小渕首相の見解を求めた。首相は「欧州諸国では民主党案のとおり、児童手当は16〜18歳まで支給され、支給額は1〜2万円である」と答弁し、「3歳未満児に第1子、2子は月5千円、第3子以降は1万円」という日本の児童手当の貧弱さを間接的ながら認めた。
最後に玉置議員は財政構造改革法の凍結に触れ、「財革法実施のために福祉や社会保障関係の費用まで削除されてしまったが、今回の補正予算に復活された様子がない」と指摘。将来の国民の税・社会保障等の負担率はどのように変化し、何パーセントが上限なのかを示すように求めた。首相は「定量的な数字を出すことは困難」と述べるにとどまった。
●直嶋正行参院議員/「緊急」は口だけの小渕流
直嶋正行参院議員は民主党・新緑風会を代表して質問に立った。
直嶋議員は「金融問題が貸し渋りで景気の足かせとなり、景気低迷が不良債権の傷口を広げるという意味で、景気と金融は表裏の関係」として、「先の金融国会で、会期延長してでも恒久減税を含む本格的な景気対策に取り組むべきだった」と政府の対応の遅さを批判。「しかも最も重要な所得税・法人税減税の具体的姿は今国会で示されていない」「『緊急』とか『非常時』と言いながら実際はいつものペースで小出しにするやり方こそが、不況を深刻にしてきた」と反省を迫ったが、小渕首相は「政権発足以来、思いきった施策を果断に実行してきたが、さらに今般の緊急経済対策を行うものだ」と居直った。
さらに直嶋議員は財政構造改革法について「昨年9月に国会提出され、11月に可決成立するまでのまさに2ヶ月間に拓銀、山一証券が破綻し、国会でも大議論になった。政府・与党は反対を押し切って成立させたにも関わらず、それから1年の間に改正案、凍結法案を提出するとは、大議論の2ヶ月間とその後の1年間は何だったのか」と述べ、「経済を落ち込ませ、財政を悪化させ、国家信用を失墜させた自民党政権の責任をどうとるのか」と厳しく追及した。小渕首相は「政策の大転換を図って責任を果たしていきたい」と、意味不明の答弁にとどまった。
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